古代インドの大叙事詩「ラーマーヤナ」をもとに再構成した物語。
コーサラ国の第1皇子ラーマが、魔力を持つ聖人の力に助けられながら、阿修羅の軍団を相手に大活躍します。第1巻に当たる「蒼の皇子」は、「落ちることのない城」アヨーディヤに羅刹が侵入したことから阿修羅軍団の侵攻を察知した聖人が、阿修羅軍団を牽制して侵攻を思いとどまらせようとしてラーマと第4皇子ラクシュマナを連れて敵陣の「恐怖の森」バヤナカ・ヴァナに侵入してその支配者タータカーを倒すまでの話。
「ラーマーヤナ」は、ヨーロッパ人にとっての「イリアス」「オデュッセイア」にあたるもので、一度読んでみたいと思っていました。長らく愛唱されてきた叙事詩だけあって、構成も雄大で、おもしろい。私が(古代)インド好きなせいかも知れませんけど。でも少なくとも、指輪物語を愛読した(最後まで読めた)人には、きっとおもしろいと思いますよ。
ただ、イリアスにしても指輪物語にしても同じですが、好戦的なお話で、戦闘シーン・殺戮シーンが多くむごたらしいのが、私にはしんどい。
むしろ寿命の尽きようとするダシャラタ王が長らく顧みなかった第1王妃カウサリヤーと復縁してむつみ合う本編冒頭に感じ入ってしまうのは、やはり私が歳だからでしょうか。
ただ、現在アヨーディヤ問題(ヒンドゥーの聖地にあったモスクの破壊とヒンドゥー寺院の再建)がヒンドゥーナショナリズムの象徴となり、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立の象徴となっていることを考えると、アヨーディヤを舞台とし、基本的に宗教戦争(正しいヒンドゥー対阿修羅・タントラ教)の体裁を取っている物語を、純粋な読み物として楽しみにくい思いが残ります。

原題:THE RAMAYANA SERIES : PRINCE OF AYODHIYA
アーショカ・K・バンカー 訳:大嶋豊
ポプラ社 2006年6月20日発行 (原書は2003年)
コーサラ国の第1皇子ラーマが、魔力を持つ聖人の力に助けられながら、阿修羅の軍団を相手に大活躍します。第1巻に当たる「蒼の皇子」は、「落ちることのない城」アヨーディヤに羅刹が侵入したことから阿修羅軍団の侵攻を察知した聖人が、阿修羅軍団を牽制して侵攻を思いとどまらせようとしてラーマと第4皇子ラクシュマナを連れて敵陣の「恐怖の森」バヤナカ・ヴァナに侵入してその支配者タータカーを倒すまでの話。
「ラーマーヤナ」は、ヨーロッパ人にとっての「イリアス」「オデュッセイア」にあたるもので、一度読んでみたいと思っていました。長らく愛唱されてきた叙事詩だけあって、構成も雄大で、おもしろい。私が(古代)インド好きなせいかも知れませんけど。でも少なくとも、指輪物語を愛読した(最後まで読めた)人には、きっとおもしろいと思いますよ。
ただ、イリアスにしても指輪物語にしても同じですが、好戦的なお話で、戦闘シーン・殺戮シーンが多くむごたらしいのが、私にはしんどい。
むしろ寿命の尽きようとするダシャラタ王が長らく顧みなかった第1王妃カウサリヤーと復縁してむつみ合う本編冒頭に感じ入ってしまうのは、やはり私が歳だからでしょうか。
ただ、現在アヨーディヤ問題(ヒンドゥーの聖地にあったモスクの破壊とヒンドゥー寺院の再建)がヒンドゥーナショナリズムの象徴となり、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立の象徴となっていることを考えると、アヨーディヤを舞台とし、基本的に宗教戦争(正しいヒンドゥー対阿修羅・タントラ教)の体裁を取っている物語を、純粋な読み物として楽しみにくい思いが残ります。

原題:THE RAMAYANA SERIES : PRINCE OF AYODHIYA
アーショカ・K・バンカー 訳:大嶋豊
ポプラ社 2006年6月20日発行 (原書は2003年)