自分がかけた魔法が効き過ぎて不幸になった過去を引きずり自分が魔女であることを否定し魔力を恐れるようになった高校2年生のジンクスことジーン・ハニーチャーチが、過去から逃げるためにニューヨークの叔母の元に引っ越して、魔女に憧れ自分が魔女だと信じるいとこのトランスことトーリーとの愛憎や、隣のハンサムボーイザックとの恋愛をめぐって展開する青春恋愛小説。
いとこのトーリーとその取り巻きがドラッグや「特典サービス」に耽り、叔母の家にホームステイしている留学生のペトラも恋人と充実した性生活を送るのに比べて、ジンクスの純情ぶりというかブリッコぶりが目につきます。ザックの気持ちへの鈍感さ加減といったら白々しすぎ。純情で不器用で内気な少女の主人公って路線が、アメリカでも若い女性読者に受けるんでしょうか。
形としては、自分の力を否定し恐れていたジンクスが自分を肯定し信じることで幸せをつかんだというラストにしているのですが、どう読んでもジンクスが自立し強くなったって感じがしません。ラストは結局ザックに救ってもらいザックに勇気づけてもらいって、すべてザック(男)頼りに思えます。言葉として、自分を信じ肯定することが大事というなら、展開として主人公の行動としてもっとはっきりジンクスの成長の跡を見せて欲しい。もう少しそちらに踏み出すだけで印象がけっこう変わると思うのですが。それは、メグ・キャボットの路線とは合わないのでしょうか。
原題:JINX
メグ・キャボット 訳:代田亜香子
理論社 2009年3月発行 (原書は2007年)
いとこのトーリーとその取り巻きがドラッグや「特典サービス」に耽り、叔母の家にホームステイしている留学生のペトラも恋人と充実した性生活を送るのに比べて、ジンクスの純情ぶりというかブリッコぶりが目につきます。ザックの気持ちへの鈍感さ加減といったら白々しすぎ。純情で不器用で内気な少女の主人公って路線が、アメリカでも若い女性読者に受けるんでしょうか。
形としては、自分の力を否定し恐れていたジンクスが自分を肯定し信じることで幸せをつかんだというラストにしているのですが、どう読んでもジンクスが自立し強くなったって感じがしません。ラストは結局ザックに救ってもらいザックに勇気づけてもらいって、すべてザック(男)頼りに思えます。言葉として、自分を信じ肯定することが大事というなら、展開として主人公の行動としてもっとはっきりジンクスの成長の跡を見せて欲しい。もう少しそちらに踏み出すだけで印象がけっこう変わると思うのですが。それは、メグ・キャボットの路線とは合わないのでしょうか。
原題:JINX
メグ・キャボット 訳:代田亜香子
理論社 2009年3月発行 (原書は2007年)