電源メーカーのコールセンターに勤務する派遣社員の安賀多くんが、職場の統括主任で小学3年生の時の同級生のベトナム系ハーフの町村さん(ティアン)と職場の野球チームの応援で小学生時代を過ごした団地に赴いたところから、団地に住むベトナム系住民との関わりでティアンの態度・生活が変化したことに戸惑い振り回されながらティアンを追いかける恋愛小説。
安賀多君の母親の再婚相手の息子の「コヒビト」のオタクぶりと、ベトナムの伝説の架空生物とされる(本当にそういう伝説があるのかわかりませんけど)トカゲとカエルの間のような「レワニワ」が語りかけ、あまつさえメールを打つという荒唐無稽さと、安賀多君やベトナム系住民たちの暗さ・やるせなさが、純文学っぽく、作品を重苦しくしています。文章はそんなに重たくないんですが。
あくまでも安賀多君の視点での語りで、ティアンの変化と自分探しの失踪・放浪の謎は、結局は説明されません。ティアンの人物像も、混乱して何だかわからない人物っぽくなってしまいますし。安賀多君の愛人「あみー」の件もそうだし、わかんなくても別にいいじゃん、みたいな突き放し方。人生としては、それでいいというか、そういうものですが、小説はもう少し納得させて欲しい。
井伊直行 講談社 2009年5月20日発行
安賀多君の母親の再婚相手の息子の「コヒビト」のオタクぶりと、ベトナムの伝説の架空生物とされる(本当にそういう伝説があるのかわかりませんけど)トカゲとカエルの間のような「レワニワ」が語りかけ、あまつさえメールを打つという荒唐無稽さと、安賀多君やベトナム系住民たちの暗さ・やるせなさが、純文学っぽく、作品を重苦しくしています。文章はそんなに重たくないんですが。
あくまでも安賀多君の視点での語りで、ティアンの変化と自分探しの失踪・放浪の謎は、結局は説明されません。ティアンの人物像も、混乱して何だかわからない人物っぽくなってしまいますし。安賀多君の愛人「あみー」の件もそうだし、わかんなくても別にいいじゃん、みたいな突き放し方。人生としては、それでいいというか、そういうものですが、小説はもう少し納得させて欲しい。
井伊直行 講談社 2009年5月20日発行