暴力団組長戸梶の片腕として六本木でのビジネスを仕切って名を上げ、中国人マフィアのボス黄にトレードされて歌舞伎町のビジネスを仕切る高岡麗美/リーメイと、自分によく似た日本人の運転免許証を手がかりに日本人西山律子になりすませたことから、リーメイの仕切る日本語学校の学生に日本人としての名前と身分証明書を手配するビジネスを始め、日中のヤクザ組織から追われることになるシャメイの2人の女性の生き様を描いた小説。
他人の資本を使って本来のヤクザよりも太く短く生きることを決意する麗美の決断力が清々しく思えますが、後半では所詮それが他人の力という最初からわかっていることで憔悴する様が残念。どうせなら麗美には、戸梶や黄にも一泡吹かせるくらいの剛胆さを見せて欲しかったと思います。
他方、シャメイは生活力としたたかさを見せつつも、語りがシャメイを慕うバイト先の元同僚翔太の視点からのため、今ひとつその考えが見えにくい。翔太を舞台回しにして、そちらから見たシャメイを動かすよりも、権力を振るう麗美/リーメイと底辺からはい上がろうとするシャメイをストレートに対比・対立させた方がスッキリ仕上がったんじゃないでしょうか。もっとも、ラストを見ると、前半の謎に満ちしたたかで魅力的なシャメイが翔太よりもか弱い女に成り下がっている感じもしますから、作者としてはそこまでのキャラじゃないということかも知れませんが。
阿川大樹 徳間書店 2009年5月31日発行
他人の資本を使って本来のヤクザよりも太く短く生きることを決意する麗美の決断力が清々しく思えますが、後半では所詮それが他人の力という最初からわかっていることで憔悴する様が残念。どうせなら麗美には、戸梶や黄にも一泡吹かせるくらいの剛胆さを見せて欲しかったと思います。
他方、シャメイは生活力としたたかさを見せつつも、語りがシャメイを慕うバイト先の元同僚翔太の視点からのため、今ひとつその考えが見えにくい。翔太を舞台回しにして、そちらから見たシャメイを動かすよりも、権力を振るう麗美/リーメイと底辺からはい上がろうとするシャメイをストレートに対比・対立させた方がスッキリ仕上がったんじゃないでしょうか。もっとも、ラストを見ると、前半の謎に満ちしたたかで魅力的なシャメイが翔太よりもか弱い女に成り下がっている感じもしますから、作者としてはそこまでのキャラじゃないということかも知れませんが。
阿川大樹 徳間書店 2009年5月31日発行