元彼の似姿のマネキンを作り続ける姉レイカに毎夜抱擁される生活を送る尊大で反抗的な態度の16歳高校1年生佐藤守が、同級生の高ビーな美少女雛見雛と親しくなり肉体関係を持つがラリっているうちに雛が死んでしまい死体を隠蔽して何食わぬ顔で放浪し日常に戻る空想・妄想小説。
主人公の自己認識は、授業は一切聞かずしかし成績は超優秀、髪を金髪に染め容姿端麗、しかし趣味はウサギの監禁で特技はクレーンゲームのぬいぐるみゲット、読む側から見れば身勝手で誇大妄想を持つオタクというところ。この主人公が、向精神薬でラリったりしながら、姉との怪しげな関係や同級生の美少女と肉体関係を持った末に死体処理と隠蔽・逃走を図るという展開ですから、全体として現実感は希薄です。主人公の行動も、自分のしたことも他人事の感覚で責任感などまるで感じられず、責任回避と自暴自棄の間を行き来するだけで、責任を回避できると見れば隠蔽と忘却へと流れていきます。
かつての吾妻ひでおの漫画の世界を、ギャグとしてではなく小説化したような感じがします。こういう語り自体がギャグとして読むべきなのかもしれませんが、私にはそういう読み方ができず、世代のギャップを感じます。
鏡征爾 講談社BOX 2009年10月1日発行
主人公の自己認識は、授業は一切聞かずしかし成績は超優秀、髪を金髪に染め容姿端麗、しかし趣味はウサギの監禁で特技はクレーンゲームのぬいぐるみゲット、読む側から見れば身勝手で誇大妄想を持つオタクというところ。この主人公が、向精神薬でラリったりしながら、姉との怪しげな関係や同級生の美少女と肉体関係を持った末に死体処理と隠蔽・逃走を図るという展開ですから、全体として現実感は希薄です。主人公の行動も、自分のしたことも他人事の感覚で責任感などまるで感じられず、責任回避と自暴自棄の間を行き来するだけで、責任を回避できると見れば隠蔽と忘却へと流れていきます。
かつての吾妻ひでおの漫画の世界を、ギャグとしてではなく小説化したような感じがします。こういう語り自体がギャグとして読むべきなのかもしれませんが、私にはそういう読み方ができず、世代のギャップを感じます。
鏡征爾 講談社BOX 2009年10月1日発行