29歳司法書士の川村祐司が、上司から紹介されたコールガールクラブを利用した際に派遣されてきた中学の同窓生平野佳織と再会し、それを機に佳織は祐司のマンションに転がり込み、中学生の頃の延長のように同棲生活が始まるが・・・という設定の青春小説。
仕事に停滞感・倦怠感を覚える祐司と、その中身は語られないものの当然に辛い過去を背負ってきたはずの佳織が、楽しかった中学生時代の続きのようにままごとのような同棲生活を続けるその喜び微笑ましい日々の描写が続きます。作者は私より6つ年下で40代半ばにさしかかったところ。中年になると幼い頃や青春時代をともに過ごした人とまったりと過ごす時間に安らぎを感じ、またそれに憧れを感じます。そういうニーズに乗っかった作品かなと思いますが、中年おじさんとしてはそれでも注文通りにスムーズに入り込んでしまいます。登場人物の設定には29歳でノスタルジーに浸らせるかなという思いもありますが。
小説としては、最初から結末をほのめかし続け、その結果として結末がどうなるかではなく、佳織の過去がいつ明らかになりいつ2人の甘い同棲に破局が訪れるかに関心が向いてしまいます。それを終わり間際まで先送りし続けるのは、ノスタルジーに浸る中年読者層へのサービスかなとまで感じてしまいましたが、結局佳織の過去は明らかにされないままに結末を迎えます。う~ん、これだけ引っ張った挙げ句にこうなると、結局巧い設定を考えつかなかったのかなと感じてしまいます。
ただ、最初から破滅の匂いを漂わせ、予定された破局を迎えるのは、幸せだった青春時代に帰り着けるなんて思うのはしょせん夢だよ、幻想だよというメッセージなのでしょう。小説を読み終えたら、待っているのは、変わらぬ現実。でも、祐司にとっては、実は都合のいい結末だったんじゃないの、だからこそ今ノスタルジーとともに振り返ってられるんじゃ・・・とも読めますけどね。
浅倉卓弥 宝島社 2009年8月21日発行
仕事に停滞感・倦怠感を覚える祐司と、その中身は語られないものの当然に辛い過去を背負ってきたはずの佳織が、楽しかった中学生時代の続きのようにままごとのような同棲生活を続けるその喜び微笑ましい日々の描写が続きます。作者は私より6つ年下で40代半ばにさしかかったところ。中年になると幼い頃や青春時代をともに過ごした人とまったりと過ごす時間に安らぎを感じ、またそれに憧れを感じます。そういうニーズに乗っかった作品かなと思いますが、中年おじさんとしてはそれでも注文通りにスムーズに入り込んでしまいます。登場人物の設定には29歳でノスタルジーに浸らせるかなという思いもありますが。
小説としては、最初から結末をほのめかし続け、その結果として結末がどうなるかではなく、佳織の過去がいつ明らかになりいつ2人の甘い同棲に破局が訪れるかに関心が向いてしまいます。それを終わり間際まで先送りし続けるのは、ノスタルジーに浸る中年読者層へのサービスかなとまで感じてしまいましたが、結局佳織の過去は明らかにされないままに結末を迎えます。う~ん、これだけ引っ張った挙げ句にこうなると、結局巧い設定を考えつかなかったのかなと感じてしまいます。
ただ、最初から破滅の匂いを漂わせ、予定された破局を迎えるのは、幸せだった青春時代に帰り着けるなんて思うのはしょせん夢だよ、幻想だよというメッセージなのでしょう。小説を読み終えたら、待っているのは、変わらぬ現実。でも、祐司にとっては、実は都合のいい結末だったんじゃないの、だからこそ今ノスタルジーとともに振り返ってられるんじゃ・・・とも読めますけどね。
浅倉卓弥 宝島社 2009年8月21日発行