大学の同級生だった男杉生とルームシェアしながら杉生の親戚の未知子のところで家事手伝いのバイトを始めた24歳女希之果が、かつて仲良かった2歳年上の従兄晃の残像を追い求めつつ、何人かの恋人と付き合ってみたものの強く好きと感じられず、杉生とも微妙な距離感を保ちながら、人を好きになるとは・・・と模索する青春小説。
恋多き母と妻子ある男との間に生まれ祖母の元で育ち、その後も奔放に生きる母とは馴染めず、近くにいながら母と別居して暮らす希之果。仲のよかった従兄に自らキスしつつ相手がその先へ進もうとしたところで逃げた経験とその後その従兄が年上の女と駆け落ちして消えたショックが尾を引き、従兄へのこだわりと「本当の」愛への憧れと渇望を持つ希之果。そういう設定の主人公が、自分は人を強く好きになることができないと感じ、信じ、思いこみつつ、シングルマザーとなる道を選びながら相手に愛されたかったのに愛されなかったというコンプレックスから乳児に愛を注ぐよりも自分が愛されることを求めそれがかなわないことに苛立つ未知子を間近に見、その未知子が乳児とのコミュニケーションを経て変わっていく姿を見て、自分がこもってしまった心の殻を溶かしてゆく、そういう流れがメインテーマになっています。
人を好きになるとはどういうことかを、繰り返し問いつつ、その結果として希之果自身が変わることで先が見えるような、あるいはラブストーリーの結果自体はどうとでもなるような、そういうラストに爽やかさを感じました。
高瀬ちひろ 講談社 2009年8月29日発行
恋多き母と妻子ある男との間に生まれ祖母の元で育ち、その後も奔放に生きる母とは馴染めず、近くにいながら母と別居して暮らす希之果。仲のよかった従兄に自らキスしつつ相手がその先へ進もうとしたところで逃げた経験とその後その従兄が年上の女と駆け落ちして消えたショックが尾を引き、従兄へのこだわりと「本当の」愛への憧れと渇望を持つ希之果。そういう設定の主人公が、自分は人を強く好きになることができないと感じ、信じ、思いこみつつ、シングルマザーとなる道を選びながら相手に愛されたかったのに愛されなかったというコンプレックスから乳児に愛を注ぐよりも自分が愛されることを求めそれがかなわないことに苛立つ未知子を間近に見、その未知子が乳児とのコミュニケーションを経て変わっていく姿を見て、自分がこもってしまった心の殻を溶かしてゆく、そういう流れがメインテーマになっています。
人を好きになるとはどういうことかを、繰り返し問いつつ、その結果として希之果自身が変わることで先が見えるような、あるいはラブストーリーの結果自体はどうとでもなるような、そういうラストに爽やかさを感じました。
高瀬ちひろ 講談社 2009年8月29日発行