伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

憂鬱たち

2010-01-17 19:39:45 | 小説
 生活には困っていないうつ状態の女性神田憂が、今日こそは精神科に受診しようとして家を出るが、途中で別のことに関わってしまい精神科に行けないというシチュエーションを共通にした短編連作。
 すべての作品で「カイズ」という名前の中年男性と「ウツイ」という名前の若い初々しい男性が登場しますが、作品ごとに役割や職業が異なり、統一性・関連性はありません。
 主人公が被害妄想を持ち、「カイズ」や「ウツイ」に対してあらぬ事を勝手に想像して行くというパターンが多く展開されます。読者を刺激すること自体を目的とするような奇をてらった設定や表現がちょっと鼻につきます。うつの人ってこういう妄想を持つのだろうかというあたりにも、ちょっと疑問を感じました。
 連作だと思いますが、初出が「群像」、「文學界」、Mixi、「野生時代」とバラバラなのはどういう事情なんでしょう。


金原ひとみ 文藝春秋 2009年9月30日発行
コメント
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