伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

神々の午睡

2010-01-16 22:58:46 | 物語・ファンタジー・SF
 大神クォリクルミテが君臨し160人の妻との間に384人の子をなし、大神の子は「クウ」と呼ばれ大神の意志により何かを司る神に選ばれたり選ばれなかったりするという世界での、神々と「クウ」と人間の織りなす物語の短編連作。
 絶対神の気まぐれで好色・絶倫ぶりと神々も人間と同じように失敗するというあたりの設定はギリシャ神話的で、しかし神々の心情が柔らかく人間的なあたりと舞台設定はアジア的です。
 大神を設定しながら、その大神が力を振るう場面は登場せず、雨の神シムチャッカ、死の神グドミアノ、沼の神フィモット、音楽の神ラマリリア、戦の神テレペウト、風の神ピチュと何人かの人間たちで話が進んでいきます。そのため神々の話でも厳しく非情な展開は少なく共感しやすいファンタジーになっています。
 短編同士のストーリーは無関係ですが、登場する神々の関係に少し流れがあり、死の神グドミアノは気に入ったのか「盗賊たちの晩餐」以外のすべてに登場します。
 通して一つの物語とは読みにくいので、散漫な感じが残りますが、じんわりとした味わいを感じます。


あさのあつこ 学研パブリッシング 2009年10月13日発行
「アニメディア」2008年7月号~2009年6月号連載
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証拠収集実務マニュアル 改訂版

2010-01-16 00:24:21 | 実用書・ビジネス書
 民事裁判で使う証拠の入手方法等について検討解説した本。
 公的な登記・証明書類や法令、裁判記録などの調査・入手に関する基本編と、各種の裁判パターンごとに解説した実践編からなっています。実践編では各種の裁判ごとに裁判手続や主張すべき事実の説明、その立証のために提出すべき証拠、その証拠書類の入手・作成方法が解説されています。
 全般的に言えば、弁護士にとって自分があまり経験のない分野では勉強になり興味深いですが、自分が多数経験している分野では物足りないし実務感覚とフィットしない部分もあります。多数の弁護士の分担執筆のため、証拠の入手についての実務的な配慮が行き届き新しい知識にも目配りされているできのいい役に立つ部分もあれば、抽象的な説明や条文・規則の説明に終始して肝心の証拠入手の具体的な記載が見られない部分もあり、ムラが大きいのが気になります。
 でも自分の知識のムラをならす意味で、弁護士にとっては読んでおいて損はない本だと思います。弁護士以外の読者は、たぶん想定していないでしょうし、読み通すのはかなり難しいでしょうね。


東京弁護士会法友全期会民事訴訟実務研究会編 ぎょうせい 2009年9月15日発行 (初版は1999年)
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