伊東良徳の超乱読読書日記

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税務署が嫌がる「税金0円」の裏ワザ サラリーマンにもできる「合法的脱税術」

2014-05-06 02:32:13 | 実用書・ビジネス書
 元国税局の法人税担当調査官が「際どい節税策」(5ページ)を紹介する本。
 この本で紹介されている節税策は、基本的に給与所得者(サラリーマン)が副業として自営業特に不動産賃貸業を営みそこで実質的な生活費を大胆に経費計上して赤字を作って給与所得と通算することによって現実には赤字ではないのに事業所得は赤字・給与所得を赤字通算して減少させて税金を減らそうというもの。自営業者が生活費を経費計上しているという幻想を振りまいて給与所得者の不公平感を増大させるありがちなマスコミと税務署のプロパガンダと軌を一にするところは残念です。現実に自営業者がそれほどでたらめな経費計上をしているとは、私には思えませんが。それはさておき、給与所得者が事業に手を出すこと、特に不動産投資のような大きな金額をつぎ込むことには、相当なリスクがあります。著者もそのことには注意を喚起していますが、自営業者の厳しさ(給与所得者のように定額の収入がある保証は全くない)について、認識が甘いように思えます。特に給与所得者が勤務先を辞めて独立して契約を交わすことによる節税を勧める第4章は、極めてリスキーです。そういうことをしたらほとんどの元従業員は最初の仕事が済んだら契約を打ち切られ、体のよいリストラに遭っただけということになるのが関の山でしょう。
 最初の方で書いている扶養控除の利用で、別居して実質的には年金で暮らしている両親を扶養家族として申告し扶養控除を得るという手口について、「税務署員がこういうケースを自分で税務申告していることもけっこうあるんです」(54ページ)というのが、目を引きます。こう言われると、やってみたくなりますよね。
 私としては、節税策よりも、現在の税務政策の方向性についての著者の批判が興味深く思えました。長くなりますが、たいへん示唆に富んでいますので引用しますと、「消費税は低所得者ほど負担の大きくなる税金です。日本はどんどん格差社会になっているのに、それをさらに加速させる増税をしてどうするつもりなんだろう?と思います。また日本は、バブル崩壊以降、深刻な消費低迷に悩まされています。低迷している消費にさらに増税すれば、消費がさらに冷え込むのは目に見えています。」「今、日本で一番お金を持っているのは、大企業と金持ちです。バブル崩壊以降、日本経済は低迷しているといわれていますが、その陰で実は大企業はしっかりお金を貯めこんでいるのです。企業の内部留保金は、現在300兆円近い金額に達しています。現在の国税収入の7~8年分という巨大な額です。そして現在の企業の内部留保金は、ほとんどが設備投資などには使われず、現金預金、金融資産として会社に貯めこまれているのです。これだけの巨額のお金が会社の中で眠っていることが、日本経済の金回りを悪くしている要因でもあります。しかも企業の内部留保金というのは、バブル崩壊以降、ずっと増え続けているのです。2000年には180兆円程度しかなかったものが、現在は300兆円近くに達しているのです。この10年、サラリーマンの給料はずっと下がりっぱなしなのに、会社はしっかりお金を貯めこんでいたのです。また億万長者の数も、この10年で激増していることは。本文で述べたとおりです。これを見たとき、今どこに税金をかけるべきかは明白です。『企業や金持ちに増税すると、彼らが海外に逃げる』と思っている方も多いでしょう。でも、それは、財界の連中が『自分たちに増税させないため』の詭弁に過ぎません。今の税制では、『日本で金儲けをしている日本人(日本の企業)』が海外に逃げ出すことはできません。海外に出て行くのは、海外で金儲けをしている人(企業)、そして日本国籍を捨てた人です。日本でお金を貯めこんでいる企業や人というのは、日本で金儲けをしてきた人たちです。彼らは海外に出て行っても、金儲けはできません。だから、彼らは日本にとどまらざるを得ないのです。また海外に進出する工場などは、税金の安さを求めているわけではありません、法人税というのは、事業経費の中では1%にもなりませんので、法人税が高いか安いかというのは、企業活動にはほとんど関係ないのです。海外に進出する工場のほとんどは、現地の人件費や土地代、材料代の安さに惹かれてのことなのです。こういう企業は、日本の税金の多寡にかかわらず、海外に出ていくものなのです。だから、今日本がしなければならないことは、企業や金持ちに『ちゃんと税金をかける』ということなのです。これだけ格差社会になったのも、近年の大企業優遇、金持ち優遇政策のせいなのです。」(202~204ページ)。この本は2012年に書かれたものですが、消費税を増税してその税収で法人税減税をもくろむ、庶民いじめの現政権の政策にまさしく当てはまる批判だと思います。


大村大次郎 双葉新書 2012年11月11日発行
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