伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

沈むフランシス

2014-05-10 23:36:12 | 小説
 世田谷区での男との暮らしに見切りを付けて会社を辞めて単身子どもの頃暮らしたことがある北海道の小さな村に移り住み郵便局の非正規職員として郵便配達をする35歳の撫養桂子が、離れた一軒家に一人住む謎めいた38歳男寺富野和彦に誘われ休日に自宅を訪れて肉体関係を持ち、寺富野が妻帯者で友人の妻にも手を出していることも知りつつずるずるとつきあい続ける恋愛小説。
 音に強いこだわりを持つ趣味のよい男という印象に桂子が惹かれていくということなのでしょうけれど、電力会社の協力企業の経営者のどら息子が妻を置いて一人会社の施設の見張りの楽な仕事名目で隠遁生活を続け趣味と女に明け暮れかなりわがままをやり放題というのを見ると、どうしてこんな男に主人公は惹かれ正体が見えても分かれようとしないのか不思議に思う。まぁおじさんのやっかみですけど。
 特にエピローグと断るわけでもないけど、冒頭にある川を流れるもの。思わせぶりですけど、正体がわかった時、ちょっと違う感が強い。これを最初に置いた作者の意図が今ひとつわからないというか、ずれたものを感じてしまう。


松家仁之 新潮社 2013年9月30日発行
コメント
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