伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

あらゆる領収書は経費で落とせる

2014-05-18 19:42:15 | 実用書・ビジネス書
 元国税調査官が法人の経費で落とせる範囲と経費で落とす時の注意について解説した本。
 領収書は上様宛でも、そもそも領収書などなくても支払日・支払額・支払先・支払の内容さえ記載されていれば自分で書いた記録があれば十分(145~152ページ)で、業務に使っていれば薄型テレビやブルーレイ・レコーダーを買って自宅においていても(事業上の研究のためのDVDを見ていることが確認できれば)経費で落とせるし、飲食代や旅行代金さらにはキャバクラでの支払も業務との関連を言えれば接待費や福利厚生費、研修費等の費目で落とせるとされています。
 500万円の4年落ちの中古のベンツをローンで買えば残りの耐用年数が2年で定率法なら購入年度に100%減価償却(経費算入)ができて支払う額の何倍も経費が作れる(2年目以降は支払う分の経費化ができませんが)から税金は安くなるし資金繰りも助かる、だから社長はベンツを買いたがる(97~101ページ)という話は、なるほどと思います。
 開業医は、日本医師会の圧力で、領収書まったくなしでも収入の7割程度を経費計上できる(社会保険診療報酬が5000万円までの場合)(196~199ページ)という説明は、なるほどと思う反面、開業医といういわば装置産業的な業種では家賃、人件費の他にけっこう設備投資が大きいと思いますので、概算経費率がそれくらいというのはそれほどの優遇でもないような気がします。きちんと申告している自営業者の目には、現実には仕事で使うものはほとんど全て会社が用意してくれて業務上の経費なんてほとんどないのに一律に3割程度ものみなし経費に当たる「給与所得控除」がなされる給与所得者が一番優遇されているように思えます。
 また福利厚生費を多くしてその分給料を減らすことで会社も従業員も税金と社会保険料を減らせて利益になる(29~32ページ)という説明は、会社側にとってはそのまま聞いていいですが、従業員側は税金だけ見ればそう言えても社会保険の方はそれによって将来受け取れる年金額が低くなることに注意すべきです。
 税務署の調査官の中には、個人事業者の交際費は50%しか認められないとか、二次会の費用は交際費として認められないとか、個人事業者には福利厚生費は認められないなどの嘘を言って税金を追徴し払わなくてもいい税金を払わせる者がいる(53、115、157ページ)、まず第一に税務署は絶対に正しいという先入観を捨てるべきだ、この人は私にたくさん税金を払わせようとしている、税金を取るために口からでまかせを言う人だと思って警戒する必要がある、調査官の中には会計知識がない人も多い、調査官の言うことを頭から全部信じることは非常に危険(156~159ページ)というのは、元国税調査官の言葉ですから、重みを感じました。


大村大次郎 中公新書ラクレ 2011年9月10日発行
コメント
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