言葉のチカラで人を動かす方法、特にビジネスの場でのその応用を論じた本。
頼みごとをするときには、相手の自由度を高める(命令形ではなく相手に自分で選択させる)、仮定法過去や間接疑問文など持って回ったまどろっこしい言い方をした方がいい、それがていねいな真心のこもった言い回しだとかいうことを英語を始め世界中のさまざまな言葉に同じ傾向が見られるなどと説明しています(48~50ページ、106~112ページ)。実例として示されるのは英語だけですが、何となくこういうふうに言われるとそうかなあと思ってしまいます。著者の言葉のチカラで言いくるめられてるだけかもとも思いますが。
その言葉が発せられた状況の下で標準的な表現を無標の言葉、標準的でない表現を有標の言葉として、有標の言葉をうまく使うことを勧めています。挙げている事例は、やや奇をてらった感もありますが、コミュニケーションのヒントではあります。
全体としては、やや統一感に欠ける小ネタの集合という感じもします。
①常に機会を求め=「飲みの席には這ってでも行け」「ノーと言わない大人になりなさい」、②あきらめないで努力して=「あきらめたらそこで試合終了ですよ」、③成功すると自分に言い聞かせ=「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」、④固執しないでフレクシブルに=「階段を上がれば見える違った景色がある」、⑤リスクを恐れず挑むこと=「書けば官軍」「やらない後悔よりやる後悔」が、著者の人生の指針にもなっているとか(76~81ページ)。このあたりは、人を動かすというよりは自己暗示という感じですが。
著者のプロフィールは「明治大学法学部教授」で専門は司法コミュニケーションの社会科学的分析、法言語学、理論言語学で、「自身も会社を経営するなどビジネスにも通じている」とされています。「発話行為というのは、話し手と聞き手の間で、必ずしも一致するわけではない」と言ってその例で「霊感商法のセールスマンが、『ご家族のこともいろいろとご心配でしょうし』と気遣いのつもりで発した言葉を、聞き手が『その商品を買わないと自分の家族に危害を加えられる可能性がある』と解釈してしまったら、『脅迫』ということになります」(40ページ)とまるで霊感商法の加害者が気遣いのつもりで言っているのに被害者が勝手に取り違えたというように書いています。被害者側にではなく霊感商法セールスマンの側に寄り添って助言するという書きぶりを平気で選択するセンスは、私の理解を超えています。ちょっと引いて読んだ方がいいかなとも思えました。
堀田秀吾 2014年2月10日発行 ちくま新書
頼みごとをするときには、相手の自由度を高める(命令形ではなく相手に自分で選択させる)、仮定法過去や間接疑問文など持って回ったまどろっこしい言い方をした方がいい、それがていねいな真心のこもった言い回しだとかいうことを英語を始め世界中のさまざまな言葉に同じ傾向が見られるなどと説明しています(48~50ページ、106~112ページ)。実例として示されるのは英語だけですが、何となくこういうふうに言われるとそうかなあと思ってしまいます。著者の言葉のチカラで言いくるめられてるだけかもとも思いますが。
その言葉が発せられた状況の下で標準的な表現を無標の言葉、標準的でない表現を有標の言葉として、有標の言葉をうまく使うことを勧めています。挙げている事例は、やや奇をてらった感もありますが、コミュニケーションのヒントではあります。
全体としては、やや統一感に欠ける小ネタの集合という感じもします。
①常に機会を求め=「飲みの席には這ってでも行け」「ノーと言わない大人になりなさい」、②あきらめないで努力して=「あきらめたらそこで試合終了ですよ」、③成功すると自分に言い聞かせ=「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」、④固執しないでフレクシブルに=「階段を上がれば見える違った景色がある」、⑤リスクを恐れず挑むこと=「書けば官軍」「やらない後悔よりやる後悔」が、著者の人生の指針にもなっているとか(76~81ページ)。このあたりは、人を動かすというよりは自己暗示という感じですが。
著者のプロフィールは「明治大学法学部教授」で専門は司法コミュニケーションの社会科学的分析、法言語学、理論言語学で、「自身も会社を経営するなどビジネスにも通じている」とされています。「発話行為というのは、話し手と聞き手の間で、必ずしも一致するわけではない」と言ってその例で「霊感商法のセールスマンが、『ご家族のこともいろいろとご心配でしょうし』と気遣いのつもりで発した言葉を、聞き手が『その商品を買わないと自分の家族に危害を加えられる可能性がある』と解釈してしまったら、『脅迫』ということになります」(40ページ)とまるで霊感商法の加害者が気遣いのつもりで言っているのに被害者が勝手に取り違えたというように書いています。被害者側にではなく霊感商法セールスマンの側に寄り添って助言するという書きぶりを平気で選択するセンスは、私の理解を超えています。ちょっと引いて読んだ方がいいかなとも思えました。
堀田秀吾 2014年2月10日発行 ちくま新書