伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

労働法実務解説6 女性労働・パート労働・派遣労働

2017-05-19 20:34:44 | 実用書・ビジネス書
 日本労働弁護団の中心メンバーによる労働法・労働事件の実務解説書シリーズの女性労働(性差別の禁止、母性保護、育児・介護休業)と非正規雇用(ただし、有期雇用を除く)関係の部分。
 2008年に刊行された「問題解決労働法」シリーズの改訂版です。
 全体として、制度、法律、指針・通達類の説明のため条文等を羅列した部分が多く、ことがらの性質上そうなりがちではありますが、読み進むのがしんどい。
 派遣法の部分もどうしても法技術的な解説が多くなるのですが、構成(項目の順序)が、労働者側から読むのに適した形に組まれていて、作り具合になるほどと思いました。
 第7章の「業務請負」「業務委託」で働く労働者をめぐる問題は、近年、労働法の規制を回避するために小ずるい経営者が業務委託契約の形態をとり、それが紛争になる事件が増えているので、そのあたりを様々な事例を取り上げて説明してほしいところですが、あっさりした説明で、ちょっと残念です。
 このシリーズ全般に感じられることですが、誤植の類が目につきます。項目ごとに、最初に「POINT!」というまとめがあるのですが、第6章派遣労働の「12 『均衡』待遇の確保1~賃金」の「POINT!」が「■ 解雇に対する規制として最も重要なのは、合理的理由、社会的相当性の有無により解雇の有効性を判断する解雇権濫用法理(労働契約法16条)である。■ その他にも、個別法令による解雇制限がある。」とされている(171ページ)というのは、あまりにもお粗末(全くの見当外れ)。パートタイム労働者の差別取扱禁止(パート法第9条)の「通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者」の要件から無期契約やこれに準ずる場合であることが外されたと説明している(120~121ページ)のに、127ページの表では「無期or反復更新により無期と同じ」が要件になっている、派遣中の労働者に関する派遣元・派遣先の責任分担の表(200~201ページ)の左側の「派遣元」に対応する右側は当然「派遣先」であるはずなのに何の間違いかすべて「均等待遇」という的外れな記載になっているなども、図表は著者校正の対象になっていないのかなと思いますが、あんまりかなと思いました。


宮里邦雄、古田典子、秦雅子 旬報社 2016年7月11日発行
コメント
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