伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

暗号通貨クライシス BUG 広域警察極秘捜査班

2020-06-18 00:08:27 | 小説
 「BUG 広域警察極秘捜査班」の後編。ブティア博士が開発しビットセーフ社の手によりマーシャル諸島の通貨となり太平洋諸国の共通通貨化を狙う暗号通貨Lexのプログラムの「鍵」を握る水城陸/沖田シュウを巡って、Lexの拡大を妨害したい勢力が暗躍し、サミット航空172便墜落事故の真相を追うはずの水城陸/沖田シュウは襲撃され、拉致されてしまい、BUGとブティア博士の側近が水城陸/沖田シュウ救出に向けて奔走するという展開を見せます。
 前編では比較的穏当に展開させていた作者が、この後編では、派手に暴力シーンと殺戮を描き続け、前編で作った設定・世界を破壊してしまいます。前編と後編で、少し人が変わったような進め方ですし、こんなに壊してしまわなくてもという印象を持ちました。エピローグで「自分が守るべきもの、愛すべきもの。これからは、きっと守ってみせる」とか言っているので、ひょっとしたら作者はまだ続編を考えているのかも知れませんが、ふつうに考える限り、それは無理だろうと思う壊しっぷりです(だから、もう続編はないと踏んで、前編・後編と書いています)。
 サミット航空172便墜落事故の真相解明=水城陸/沖田シュウの雪冤は、この作品の重要テーマのはずですが、そこは何というかとってつけたようなあっけない印象ですし、他方、水城陸の父晋也への思いが終盤でダンブルドアを恨みに思うハリー・ポッターのようであり、しかしそれほどの深み/重層性が見られずただ暗いのも残念に思えます。


福田和代 新潮文庫 2020年4月1日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする