伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

歌舞伎町ゲノム

2020-06-24 20:05:54 | 小説
 歌舞伎町界隈で悪党らの被害を受けた者やその知人から依頼を受けて報復をする、自警団のような、「必殺仕掛け人」のような7人組「歌舞伎町セブン」の仕事ぶりなどを描いた短編集。
 このシリーズでは、2作目の「歌舞伎町ダムド」が、「新世界秩序」(NWO)とかいう権力に根を張った大組織を敵方に位置づけた上、「武士道ジェネレーション」(2015年7月)以降右翼の伝道師のようになっていた作者が、沖縄の米軍基地反対闘争は本土の左翼犯罪者の陰謀で裏には外国人がいるなどと政治的な主張をするもので、この調子じゃ続編にはつきあいにくいなぁを思っていたのですが、この作品では、NWOの名前は出てくるものの、名前だけで、事件等はふつうのワルたちが犯して、ふつうのワルたちを懲らしめる(って殺すんですが)ものばかりです。「名探偵コナン」のふつうの回(「黒ずくめの組織」に触れはするが黒ずくめの組織は動かない回)みたいな印象です。もっとも、最後の作品の終盤は、またそっちに行きかけてますが。初出が2017年秋から2018年にかけてのこの作品で、ネトウヨっぽい政治主張が出てこないのは、その手の路線に飽きて卒業してくれたのでしょうか。そうだといいのですが。


誉田哲也 中央公論新社 2019年1月25日発行
コメント
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