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伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ラストライン3 迷路の始まり

2020-08-20 23:12:31 | 小説
 「ラストライン」から2年と少し経ち、52歳になった南大田署の刑事岩倉剛が、管内で通り魔殺人の被害者と見られていた島岡剛太が目黒中央署管内のマンションで殺害された経済評論家藤原美沙と男女関係にあったことを掴み、事件は意外な展開を見せ…という警察小説。
 主人公岩倉剛の最大の特徴として設定されていた驚異的な記憶力は、ほぼ影を潜め、申し訳程度に触れられているだけになります。もう一つの属性だった20歳年下の劇団女優の愛人を持つ点も、冒頭からその劇団女優がニューヨークにオーディションを受けにいって遠距離恋愛になってしまいます。こうなると、ただ妻と別居中で高校生の娘を持つ50代のオヤジ刑事の話というだけになってしまいます。
 そして、今回は、悪役をMETOなる謎の武器密輸組織にしてしまい、しかしながら登場する犯人はどこかチンケな中途半端な連中で、悪役としてキャラ立ちしていないし、またこういう寄せ集めで「謎の組織」ができるのか疑問に思えます。今回「迷路の始まり」というタイトルを選んだのも続編をこの謎の武器密輸組織との闘いとするつもりで、おそらくは岩倉剛の愛人をニューヨークに行かせたのも次作で「国際」組織との闘いの場がニューヨークになったりすることを予定してるのだろうと思いますが、悪役のキャラが作り込まれておらず、無意味に国際的な謎の組織なんていうのが相手になると、きっとつまらない作品になるだろうなとげんなりしてしまいます。


堂場瞬一 文春文庫 2020年3月10日発行
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