伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

現代アートをたのしむ 人生を豊かに変える5つの扉

2021-04-10 23:18:48 | 人文・社会科学系
 元キュレーターの作家と元学芸員で香港のアートセンター館長の2人が、現代アートとその魅力について語った本。
 「現代アートって何?」と題する歴史の話の場面では、そこそこ知っている画家(アーティスト)が登場しますが、個別の紹介になる「ふたりが選ぶ、いま知っておきたいアーティスト」になると、アンディ・ウォーホルしか知らん…私、少なくとも学生の頃は美術好きで美術館にもけっこう通っていた方なんですが…やっぱり「現代アート」は敷居が高い。
 興行側の著者たちが美術館に足を運んで現物を見に来いと誘うのは理解できるものの、特に東京では、美術館は、最近だと1回1900円も取られた挙げ句に、特に新聞社・テレビ局主催・後援だと大宣伝でたくさんの人が押しかけて行列を作り人の頭しか見えなかったりへたすると立ち止まって見てたら注意されたりするような、とても文化の香りがしないところに見えます。平日の午前中と週末の昼前後が最も混雑する、閉館30分前を狙えというご指導(219ページ)はありがたく受け取っておきますが、それで見に行こうと思えるのはよほど気に入った作品に限られると思います。近年の日本の美術展には、何としても見たいと思うような作品はあまり来ないように思えるのですが。
 著者(原田マハ)が、自分は国立近代美術館の熱心なファンだと言って、「騎龍観音」(原田直次郎)、「裸体美人」(萬鐵五郎)、「生々流転」(横山大観)、「第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神」(アンリ・ルソー)を是非見て欲しいと紹介しています(225~226ページ)。国立近代美術館は、私の事務所から歩いて行ける圏内なので時々平日の昼間に時間ができたらぶらりと行っていました(コロナ禍後、予約制になってしまい、面倒に思えて行かなくなりましたが)。「生々流転」以外は常設展でたいてい展示されていますので何度も見ました。ルソーは、他の作品でも植物・樹木の描写が巧みで、私は好んで見ています。「騎龍観音」は少し奇をてらった構図ですが、見惚れます。でも「裸体美人」は何度見てもどこがいいのかわかりません。「現代アート」が、このあたりの作品のことだったら、わかりやすくていいのですが…


原田マハ、髙橋瑞木 祥伝社新書 2020年5月10日発行
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