著者が、会社国家のタブーへに挑んだ(おわりに:208ページ)ノンフィクション100冊を紹介した本。
おわりにで、「あまり知られていないけれどもドキドキするような作品を選んだつもりである」と述べられている(208ページ)からいいのかも知れませんが、100冊のうち4冊しか読んでない (-_-;)
採り上げた作品またはその著者の紹介が半分くらいで、その話に絡めた著者自身の経験や意見が半分くらいという感じです。
「田中角栄」では、「ロッキード事件の時などには私も田中の金権政治を批判した。しかし、その後、小泉純一郎などが登場し、彼が主要敵とした田中と比較してみた時、ダーティかクリーンかという軸のほかに、ハト派かタカ派かというモノサシで政治家を測らなければならないのではないかと思うようになった」「具体的に言えば、小泉純一郎や安倍晋三が(比較的)クリーンなタカであり、田中角栄がダーティなハトの象徴になる」「たとえば軍人などクリーンなタカの典型と言ってもいいが、それよりはダーティでもハトのほうがいいという視点を得て、私は田中を見直すようになった」(110~111ページ)とか、まぁそうだと思いますけど、岸信介をこの本でも繰り返し批判する著者が、小泉純一郎が出てくるまでハト派かタカ派かというモノサシを重視していなかったのか、大丈夫かと思ってしまいますし、採り上げたノンフィクション自体がどういうものかほとんど紹介されていないように感じます。
「鞍馬天狗のおじさんは」の嵐寛寿郎が戦時中に前線を巡業して関東軍のエライさんが毎晩のように芸者を抱いて遊んでいるのを見て戦争は完全に負けだと思ったという下り(126ページ:あえて孫引きすると「戦争こんなもんか。“王道楽土”やらゆうて、エライさんは毎晩極楽、春画を眺めて長じゅばん着たのとオメコして。下ッ端の兵隊は雪の進軍、氷の地獄ですわ」。伏せ字にしないとエロサイト認定されるかも)や「米軍ジェット機事故で失った娘と孫よ」で米軍のファントムが住宅地に墜落した際の犠牲者の幼児の今際の際の言葉を紹介し(ここ、目頭が熱くなります)海上自衛隊が米軍兵士の救助を優先して被害者は無視し証拠品も米軍が回収し得て警察には手も触れさせずパイロットはまったくお咎めなしで帰国したことに言及する(158~159ページ)など、軍に対する批判は読んでいて共感します。

佐高信 岩波新書 2021年3月19日発行
おわりにで、「あまり知られていないけれどもドキドキするような作品を選んだつもりである」と述べられている(208ページ)からいいのかも知れませんが、100冊のうち4冊しか読んでない (-_-;)
採り上げた作品またはその著者の紹介が半分くらいで、その話に絡めた著者自身の経験や意見が半分くらいという感じです。
「田中角栄」では、「ロッキード事件の時などには私も田中の金権政治を批判した。しかし、その後、小泉純一郎などが登場し、彼が主要敵とした田中と比較してみた時、ダーティかクリーンかという軸のほかに、ハト派かタカ派かというモノサシで政治家を測らなければならないのではないかと思うようになった」「具体的に言えば、小泉純一郎や安倍晋三が(比較的)クリーンなタカであり、田中角栄がダーティなハトの象徴になる」「たとえば軍人などクリーンなタカの典型と言ってもいいが、それよりはダーティでもハトのほうがいいという視点を得て、私は田中を見直すようになった」(110~111ページ)とか、まぁそうだと思いますけど、岸信介をこの本でも繰り返し批判する著者が、小泉純一郎が出てくるまでハト派かタカ派かというモノサシを重視していなかったのか、大丈夫かと思ってしまいますし、採り上げたノンフィクション自体がどういうものかほとんど紹介されていないように感じます。
「鞍馬天狗のおじさんは」の嵐寛寿郎が戦時中に前線を巡業して関東軍のエライさんが毎晩のように芸者を抱いて遊んでいるのを見て戦争は完全に負けだと思ったという下り(126ページ:あえて孫引きすると「戦争こんなもんか。“王道楽土”やらゆうて、エライさんは毎晩極楽、春画を眺めて長じゅばん着たのとオメコして。下ッ端の兵隊は雪の進軍、氷の地獄ですわ」。伏せ字にしないとエロサイト認定されるかも)や「米軍ジェット機事故で失った娘と孫よ」で米軍のファントムが住宅地に墜落した際の犠牲者の幼児の今際の際の言葉を紹介し(ここ、目頭が熱くなります)海上自衛隊が米軍兵士の救助を優先して被害者は無視し証拠品も米軍が回収し得て警察には手も触れさせずパイロットはまったくお咎めなしで帰国したことに言及する(158~159ページ)など、軍に対する批判は読んでいて共感します。

佐高信 岩波新書 2021年3月19日発行