伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

世界の美しい地図

2021-04-27 21:35:17 | 人文・社会科学系
 主として中世から近世にかけて作成された地図を紹介する本。
 よく言われることではありますが、紀元前2世紀の頃ローマ帝国時代のエジプト・アレクサンドリアで活躍したプトレマイオスが地球が球体であることを前提にそれを地図に表す方法を論じていて(13~14ページ)、その著書は最も古い写本でも13世紀のものしか残っていないためプトレマイオス自身が地図を作ったか否かは定かではありませんが、それでもプトレマイオスの著書を元に作成された世界地図(24~25ページ)を目にして、他方で中世のヨーロッパではキリスト教の原理の下いわゆる「TO図」(平面にアジア・ヨーロッパ・アフリカの3大陸がナイル川・タナイス川(ドン川)・地中海に分割されて描かれる)が作られ続けた(14~15ページ、20~22ページ等)のを見せられると、文明・文化というのは決してまっすぐに進むのではない、過去よりも現在の方が科学的真実に近づいているとは限らない、過去の人たちよりも私たちの方が賢いとは限らないということを改めて実感します。
 掲載されている地図の選択は、編集者の趣味によるものと思われ、著名なものが網羅されているわけではなく、見たこともないものが多数見られて、その点がいいと思います。個人的には、初見ですが、クラース・ヤンス・フィッセルの16~17世紀のオランダをライオンの姿に描写した「レオ・ベルギクス」(121ページ)が一番気に入りました(ちょっと癒やされる)。


MdN編集部編 エムディエムコーポレーション 2021年2月1日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする