東日本大震災後、早期に営業を再開した性風俗店に勤める風俗嬢や、震災のために勤め始めた風俗嬢へのインタビューにより、震災が人々の意識と生活に与えた影響を考察した本。
男性の場合、弱音を吐くな、人前で弱みを見せるなと言われて育つことが多いため、震災で地震や家族が被害に遭っても、避難誘導や救助活動で悲惨な光景を目にしても、それで強い衝撃を受けても、それを人に素直に話せないということは、ありそうなことで、そういう日頃人に言えずにいることを、肌を合わせ、そして日常生活で会うことはない風俗嬢にだけ、漏らす、愚痴るということもありそうなことではあります。そういう意味で、被災者の本音を風俗嬢へのインタビューで知るという方法はあるのかも知れません。しかし、取材者としてインタビューを生業とする者であれば、そういう相手でも話させるのが仕事であり技であり、正面から直接聞いても話は取れるはずじゃないかと思います。風俗嬢経由では、話は伝聞で不正確になるでしょうし、具体性を欠き、もっと聞きたいというところも確かめようがありません。そこは、方法論としては、やはり無理というか限界があり、著者が風俗嬢インタビューが得意というか好きだからそうしたという方が素直だと思います。
風俗嬢自身の経験の部分は、直接のインタビューですが、人数が少ないこと、その後も仕事を続けている人で、インタビューに応じてくれた人の話ということでの偏りがあると考えられ、ごく少数の個人的な経験として、そういうこともあるんだという読み方をすべきでしょう。
どうしても抽象的な話の断片にはなるのですが、いくつかの断片が組み合わさることで、震災による被害、人の生活や人間関係への影響には、いろいろなことがあり、頭では想像しきれないなぁということは、感じられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_yodare1.gif)
小野一光 集英社文庫 2019年12月25日発行(単行本は2016年3月)
男性の場合、弱音を吐くな、人前で弱みを見せるなと言われて育つことが多いため、震災で地震や家族が被害に遭っても、避難誘導や救助活動で悲惨な光景を目にしても、それで強い衝撃を受けても、それを人に素直に話せないということは、ありそうなことで、そういう日頃人に言えずにいることを、肌を合わせ、そして日常生活で会うことはない風俗嬢にだけ、漏らす、愚痴るということもありそうなことではあります。そういう意味で、被災者の本音を風俗嬢へのインタビューで知るという方法はあるのかも知れません。しかし、取材者としてインタビューを生業とする者であれば、そういう相手でも話させるのが仕事であり技であり、正面から直接聞いても話は取れるはずじゃないかと思います。風俗嬢経由では、話は伝聞で不正確になるでしょうし、具体性を欠き、もっと聞きたいというところも確かめようがありません。そこは、方法論としては、やはり無理というか限界があり、著者が風俗嬢インタビューが得意というか好きだからそうしたという方が素直だと思います。
風俗嬢自身の経験の部分は、直接のインタビューですが、人数が少ないこと、その後も仕事を続けている人で、インタビューに応じてくれた人の話ということでの偏りがあると考えられ、ごく少数の個人的な経験として、そういうこともあるんだという読み方をすべきでしょう。
どうしても抽象的な話の断片にはなるのですが、いくつかの断片が組み合わさることで、震災による被害、人の生活や人間関係への影響には、いろいろなことがあり、頭では想像しきれないなぁということは、感じられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_yodare1.gif)
小野一光 集英社文庫 2019年12月25日発行(単行本は2016年3月)