就活で30社以上受けたがすべて不採用となり、1社だけ最終面接まで残ったがそこでも不採用となったことでその面接担当者に恨みを持つ大学4年生の金平光太が、やけ酒を飲んで泥酔しているときに声をかけてきた売れっ子ホストの雫に誘われてホストクラブ「チュベローズ」で働くようになり、そこでの先輩ホストや後輩の亜夢、オーナーの水谷、雫の彼女ミサキ、ミサキが回してきた客の斉藤美津子らとの間での軋轢や権謀術数などを描いた小説。
ホスト稼業の実情ないし裏側というテーマはいいと思うのですが、ただ不採用とされたというだけで面接担当者に対して一方的で過剰な恨みを持ち続ける陰湿さ加減に表れる主人公の性格の悪さ、客として主人公にむしゃぶられる役回りの美津子の人物造形のありえない荒唐無稽さ(いかにも男の目から都合のよい空想的な設定)が、読み味を悪くしていると感じました。さらに言うと、主人公以外の人物像が、人物としてしっかりと構築されてそれぞれの信念や考えに基づいて行動している感じではなくて、主人公を中心としてそれに合わせて他の人物が都合よく動いている感じがするため、全体が軽く見えてしまいました。
加藤シゲアキ 新潮文庫 2022年7月1日発行(単行本は2017年12月:扶桑社)
ホスト稼業の実情ないし裏側というテーマはいいと思うのですが、ただ不採用とされたというだけで面接担当者に対して一方的で過剰な恨みを持ち続ける陰湿さ加減に表れる主人公の性格の悪さ、客として主人公にむしゃぶられる役回りの美津子の人物造形のありえない荒唐無稽さ(いかにも男の目から都合のよい空想的な設定)が、読み味を悪くしていると感じました。さらに言うと、主人公以外の人物像が、人物としてしっかりと構築されてそれぞれの信念や考えに基づいて行動している感じではなくて、主人公を中心としてそれに合わせて他の人物が都合よく動いている感じがするため、全体が軽く見えてしまいました。
加藤シゲアキ 新潮文庫 2022年7月1日発行(単行本は2017年12月:扶桑社)