伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

疲れないための介護

2023-06-17 22:56:35 | 実用書・ビジネス書
 ケアマネジャーの著者が、現場経験に基づいて介護疲れの原因を把握して解決を図るための方法・心得を語る本。
 選択肢を増やし、その中から自分で選択することで不満を減らし、視野を広げ、ものの見方を変えることでストレスを減らし、時間の使い方を見直して効率的なだけではなく効果が出るようなやり方を心がけるとともに自分の大切な時間を増やすというようなことが推奨されています。そんなこと言っても…という思いは出ますが、「自分ならできる」と思う「自己効力感」が必要、「そもそもできるとおもわなければ、いい結果はでません。できないとおもって行動すると、必然と結果も悪くなるものです」(105~106ページ)、「自己効力感の向上は、もっと多くの業務を積極的にこなしたり、難易度の高い業務にチャレンジしたりする意欲につながります」(108ページ)といい、「根拠のない自信がチャレンジする行動力をくれます」(87ページ)というのには、勇気づけられ、信じてみたくなります。
 実は、身近にいる介護疲れしている人に何かできないかなぁと思って読んでいたのですが、この本を読んでいる最中に介護を要しなくなることになってしまいました。人生の偶然というか、皮肉というか…
 見慣れない出版社だからなのか、校正不足が目に付きます。例えば8ページに「※2」の記載があってその注記がない、43ページに「申請から介護保険利用の流れは図のようになります」とあるのに図がない、同じページに「※詳細は下記の表を参照」とあるのに表がない、66ページに「預貯金等の金額が下表の預貯金等の資産の状況に該当していること」とあるのに表がないなど。誤植と思われるものも少なくありません。せっかくならもう少し丁寧な本作りをして欲しいなぁと思いました。


鈴木篤史 日本橋出版 2023年4月6日発行
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弁護士外岡潤が教える親の介護で困ったときの介護トラブル解決法

2023-06-17 21:28:13 | 実用書・ビジネス書
 日本初の「介護弁護士」を自称している(5ページ)という著者が介護利用者側でトラブルに対応する知識と心構え等について解説した本。
 「不毛なトラブルを一件でも無くし、トラブルになりかけても話し合いで平和的に解決することで、介護の現場に元々備わっている調和の世界と『おかげさま』の精神を取り戻したい」(9ページ)という著者の姿勢は、利用者側が権利を強く主張することを抑制する方向に働き、ともすれば施設・事業者側にとってありがたい結果につながることになるでしょう。しかし、弁護士も威勢のいいことをいっていればいい結果が出るというものでもなく、無謀な主張はしない方がいいというのも真理です。
 介護をめぐる制度や実務、実情について、法律の説明はあまりしていませんが、というよりも法律の条文や規定を挙げないから読みやすく必要そうなことがらを説明しているように思えます。まずは地域包括支援センターの人と親しくなろうとか、ケアマネは施設ごとに変わるから選べないとか、老健施設はリハビリと位置づけられているから数か月で出なければならない、ヘルパーと訪問看護師は(法令上)できることが違うから頼めることが違う(かなりうるさく区別される)とか、よく知らなかったことがあれこれ書かれているのが勉強になりました。裁判でどうする的なことはあまり書かれていませんが、それ以前の段階での常識的な対応について参考になる本だと思います。


外岡潤 本の泉社 2023年4月28日発行
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