伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ヒューマンエラーを防ぐ知恵(増補版) ミスはなくなるか

2023-06-26 23:48:43 | 実用書・ビジネス書
 ヒューマンエラーによる事故が発生する原因を検討し防止法を論じた本。
 第4章のヒューマンエラーに気づかせる15の方法、第6章のヒューマンエラーの例を示してその防止策を考えさせる28問が、読みどころだと思います。
 待たされその先が見えないときについて「反応の遅い機械に対して苛立った客は、再度操作し直す→でたらめなボタンを押す→強制終了を試みる→機械をたたく→電源を抜くなどと、次第に短絡的で破壊的な行動に訴えるようになります」(157ページ)、「パソコンを使っていると、いつまでたっても『○○中』のままだったり、所要時間の予想がまったくのデタラメだったりすることは珍しくありません。これが積み重なると、ユーザは情報フィードバックを信用しなくなり、暴力的行動を起こしやすくなります」(158ページ)というのは、まったくそのとおり!と頷きながら読んでしまいました。客をなだめるためには客に何らかの情報フィードバックを与える必要があるとか、パソコンの場合はハードディスクのアクセス動作音の方が頼りになるとかいう話が、ここで著者が言いたいことではありますが。
 ATMでは、客がカードや通帳を取り忘れて帰ることを防止するため機種による違いはあっても「現金が最後に出ることは共通しています」(111ページ)とされています。しかし、私の事務所に近いみずほ銀行神田支店のATMでカードと通帳を入れて現金引出をすると、カード、現金、通帳の順に出てきます。もちろんそれぞれにアナウンスがあり通帳を取り忘れると警告音が出ますが、現金が最後、にはなっていないようです。
 FAXは「ある種のヒューマンエラー防止の効果をもっている」ので、好まれ滅びなかったとされています(143~144ページ)。FAXを現役で使い続けている身には、ちょっとホッとする記述です。もっとも、民間の一般業種ではFAXが衰退してもFAXが必須の数少ない裁判・弁護士業界も、これから数年のうちには電子メール提出(MINTS)が義務化されてFAXは顧みられなくなる見込みではありますが。


中田亨 DOJIN文庫 2023年4月30日発行(単行本:選書は2007年3月)

コメント (2)
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