ワタミ、ユニクロを中心に、過酷な長時間労働などで若者を使い潰すブラック企業の実情を報じた本。
「365日24時間死ぬまで働け」で知られる渡邉美樹氏の創業したワタミの長時間労働は広く知られていますが、介護事業「ワタミの介護」での死亡事故を含む入所者の負傷事故の事故隠しと事故多発につながる職員が睡眠時間を削らざるを得ない長時間労働、業務委託の形式を取ることにより最低賃金以下で労働させる弁当宅配事業「ワタミの宅食」のマニュアルや研修での徹底や告知さえせずに広告では大きく謳う「安否確認サービス」の実情は、私も知りませんでした。ワタミには労働組合がないことについて、渡邉美樹氏は「今の段階として作らなければならないとも思わないし、作ろうとも思わない。」「今のワタミにとって必要かというと、必要ではない。」と言い放ったそうです。労働組合は労働者が作るもので、経営者が作ったり、経営者のためにあるものではありません。「組合は必要ない」と公言すること自体不当労働行為です。今どきこのような原始的で法的素養や常識に欠ける人物が、労働関係の法律を始めとする法律を作る国会議員になっていることは、真に嘆かわしいし、戦慄を覚えます。規制緩和と称して労働者の権利を奪う法の改悪を企み続ける安倍政権の下ではふさわしい人物なのでしょうけれど。
入社して半年とか1年の労働者を「店長」にして「管理監督者」だからと言ってどれだけ残業しても残業代を支払わない(労働者側の弁護士として指摘しておけば、裁判になれば、それで管理監督者と認められることはほとんどありませんが)という手口は、ワタミ、ユニクロに限らず広範に行われています。昨年(2014年)秋以降、第二東京弁護士会労働問題検討委員会編の「労働事件ハンドブック」の執筆・編集で過労死・過労自殺の判決を読み込みましたが、経験も不十分な若い労働者が「店長」などにされて、残業代の未払だけではなく、責任感から過労とさまざまな重圧を背負い込んで過労うつ・過労自殺に追い込まれていく姿を見て涙しました。
労働者が過酷な労働を強いられブラック企業が生き延びられる背景には、非正規労働者が労働者の4割をも占めるようにした政策があり、それが現在の政権でさらに助長されようとしているという日本共産党の指摘は、労働者側の弁護士としてはまさにその通りだと思います。
もっとも、ワタミの追及が長時間労働ではなく企業ぐるみ選挙から始まるところは党利の方が重視されている印象を持ちますし、ワタミとユニクロについてはある程度まとまって書かれていますが、他の企業については断片的で迫力に欠ける感じで、そのあたりはちょっと残念です。
しんぶん赤旗日曜版編集部 新日本出版社 2014年11月10日発行
「365日24時間死ぬまで働け」で知られる渡邉美樹氏の創業したワタミの長時間労働は広く知られていますが、介護事業「ワタミの介護」での死亡事故を含む入所者の負傷事故の事故隠しと事故多発につながる職員が睡眠時間を削らざるを得ない長時間労働、業務委託の形式を取ることにより最低賃金以下で労働させる弁当宅配事業「ワタミの宅食」のマニュアルや研修での徹底や告知さえせずに広告では大きく謳う「安否確認サービス」の実情は、私も知りませんでした。ワタミには労働組合がないことについて、渡邉美樹氏は「今の段階として作らなければならないとも思わないし、作ろうとも思わない。」「今のワタミにとって必要かというと、必要ではない。」と言い放ったそうです。労働組合は労働者が作るもので、経営者が作ったり、経営者のためにあるものではありません。「組合は必要ない」と公言すること自体不当労働行為です。今どきこのような原始的で法的素養や常識に欠ける人物が、労働関係の法律を始めとする法律を作る国会議員になっていることは、真に嘆かわしいし、戦慄を覚えます。規制緩和と称して労働者の権利を奪う法の改悪を企み続ける安倍政権の下ではふさわしい人物なのでしょうけれど。
入社して半年とか1年の労働者を「店長」にして「管理監督者」だからと言ってどれだけ残業しても残業代を支払わない(労働者側の弁護士として指摘しておけば、裁判になれば、それで管理監督者と認められることはほとんどありませんが)という手口は、ワタミ、ユニクロに限らず広範に行われています。昨年(2014年)秋以降、第二東京弁護士会労働問題検討委員会編の「労働事件ハンドブック」の執筆・編集で過労死・過労自殺の判決を読み込みましたが、経験も不十分な若い労働者が「店長」などにされて、残業代の未払だけではなく、責任感から過労とさまざまな重圧を背負い込んで過労うつ・過労自殺に追い込まれていく姿を見て涙しました。
労働者が過酷な労働を強いられブラック企業が生き延びられる背景には、非正規労働者が労働者の4割をも占めるようにした政策があり、それが現在の政権でさらに助長されようとしているという日本共産党の指摘は、労働者側の弁護士としてはまさにその通りだと思います。
もっとも、ワタミの追及が長時間労働ではなく企業ぐるみ選挙から始まるところは党利の方が重視されている印象を持ちますし、ワタミとユニクロについてはある程度まとまって書かれていますが、他の企業については断片的で迫力に欠ける感じで、そのあたりはちょっと残念です。
しんぶん赤旗日曜版編集部 新日本出版社 2014年11月10日発行