伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

薬物売人

2021-08-03 22:48:45 | ノンフィクション
 田代まさしへの覚醒剤譲渡で逮捕され実刑判決を受けた元売人が売人として活動していた頃の話、逮捕前後と刑務所での生活、出所後の生活等について書いたノンフィクション。
 六本木のバーを経営しながら覚醒剤、コカイン、マリファナなどを仕入れて客に売りさばいていたときの様子、摘発されないようにどういうことに注意していたか、などの描写が読みどころかと思います。「シャブは注射器でキメるのと炙りでキメるのとでは、効き目は一緒だが依存度がまったく変わってくる。炙りだと肺を通してゆっくりジワジワと効くが、注射だと血管から一発ドカンと速攻で効いてくる。炙りだと物がなければないで我慢できるが、注射だと物がなくなれば駆けずり回ってでもシャブを追い求める者がいる。注射器でシャブを喰う者は危険だ。シャブ欲しさに、少し間違うと何をしでかすか分からない」「注射器を求めてくる客には、シャブを売らないようにしていた」(210ページ)というあたり、なるほどと思います。どんな稼業でも長く続けるためには頭を働かせる必要があり、コツがあるものです。
 出所後、釜ヶ崎(大阪市西成区)のドキュメンタリー映画「解放区」の撮影に協力して、その中で監督から撮影現場で本物の覚醒剤をキメてみたいと言われ(252ページ、258ページ)、出演者に注射した(269ページ)というのは、書いて大丈夫だったんでしょうか。


倉垣弘志 幻冬舎新書 2021年5月25日発行
コメント
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