第2次世界大戦時の日本軍による中国・東南アジアでの加害行為について記述し論じた本。
タイトル・サブタイトルからは、かつて朝日新聞記者であった本田勝一の「中国の旅」のような手厳しいルポルタージュを予想しましたが、著者が留学していたシンガポールについては被侵略者側の視点が強く出され人々の声も拾われているものの、中国については外務省発表の小泉発言を小泉首相の気持ちが伺えると評価している記述(36~38ページ)などに見られるように、基本的には日本政府の見解に依拠し日本政府に寄り添う姿勢に見られ、また日本軍の加害よりも日本人の被害の方を強調しそちらに理解を示す姿勢に見えます。後者の点は、戦争による民間人の被害に目を向ける(193~194ページ)という視点から、日本人を守るためのはずの関東軍に置き去りにされた中国残留日本人、シベリヤ抑留などを取り上げているのではありますが。
山下清海 ちくま新書 2023年7月10日発行
タイトル・サブタイトルからは、かつて朝日新聞記者であった本田勝一の「中国の旅」のような手厳しいルポルタージュを予想しましたが、著者が留学していたシンガポールについては被侵略者側の視点が強く出され人々の声も拾われているものの、中国については外務省発表の小泉発言を小泉首相の気持ちが伺えると評価している記述(36~38ページ)などに見られるように、基本的には日本政府の見解に依拠し日本政府に寄り添う姿勢に見られ、また日本軍の加害よりも日本人の被害の方を強調しそちらに理解を示す姿勢に見えます。後者の点は、戦争による民間人の被害に目を向ける(193~194ページ)という視点から、日本人を守るためのはずの関東軍に置き去りにされた中国残留日本人、シベリヤ抑留などを取り上げているのではありますが。
山下清海 ちくま新書 2023年7月10日発行