一応二つの密室解きがこの本のメインテーマであります。肝心の殺人が起こるまで延々と子供たちの話を読まなければいけなく、ちょっと投げそうにもなったが、成長してからの描写はなかなか読める。
そして二つの密室の謎も心地よく読むことができた。ラスト近くの真犯人の行動にふと不信感もあるが、まあなかなか面白かった。ラストでの人物の取り違えもなぜか新鮮な驚きもあり、よかったと思う。
評価では賛否両論らしいが、 . . . 本文を読む
冒頭からの書き出しはなかなかこれはと思わせる快活な出だしだったが、セキュリティ等の説明が長く、饒舌。それはこの厄介な密室の謎を解くことになるはずだからと、真剣に読んでいたが、この謎はあまりにいい加減過ぎますよね、と言いたい。
この小説の印象的な部分は、冒頭のイラクでのテロ行為シーンです。これがいいだけに少々残念。 . . . 本文を読む
高校の文化祭。出し物のお化け屋敷の最中で行われた殺人。まあ、犯人を探し当てるまでのプロセスは結構面白かったが、全体の饒舌で吾輩のような年配にはついていけません。
問題は犯人はこの人だと言われても、それまでの書き込みが少ないので果て誰だったかなあ、という程度。そして何より動機がいくらなんでも薄っぺらすぎて、とほほ状態です。
とはいうものの、同級生二人の探偵ぶりはなかなか堂に入ってましたから、加点 . . . 本文を読む
ミステリーの方も新年早々超驚く秀作に出会う。これは4編の短編集。どれもミステリーオタクにはこの上ない至福を伴う内容となっている。僕は度肝を抜かれたかのようにページを繰る。私の顔はほころんでいる。
この阿津川 辰海 っていう人はどう人なんでしょうかね。まだ30歳にもなっていないのにとんでもない読書量。そして何よりその卓越したミステリー的才能。他の作家とは群を抜いているようだ。
この4編、どれも素 . . . 本文を読む
久々の有栖川作品を読む。あまり肌が合わないというか、ずっと遠のいていた長編もの。評判作です。
文章が結構い饒舌っぽく、やたら長い。あまり先に進まないなど、他のミステリーとはかなり差がありますね。450ページの長尺だが、殺人といっても1件だけで、これをどう読ませるか、、、がテクなんでしょうね。
ラスト近く瀬戸内海の小島に真相を追って、二人が乗り込むシーンがやはりいい。肝心の究極的謎はちょっと噓ぽ . . . 本文を読む
かなり好みの大山作品。この人の作品は他のミステリー作家とは一味も二味も違う。とにかく面白い。発想がユニーク。一番の欠点は寡作だということかなあ、、。
本作は5点の短編集。時効を過ぎた犯罪の証拠品を集めた博物館から思いがけない犯人を探ってゆく。ミステリーファンにとってはこの上ない設定であります。
なかにはちょっといくらなんでも、と思われる解決編もあるが、それはご愛敬。ミステリーファンにとっては至 . . . 本文を読む
3編のオムニバス作品と終章のあっと驚く真実に戦慄する。
道尾の作品に出てくる登場人物はみんな影を帯び、人間が哀しい存在であることをうかがわせる。それは子供でも容赦なく陰影をつけ、描いてゆく。生きることは哀しいことなんだなあとつくづくと考えさせられる。
この視点が道尾の魅力でもある。ミステリーの手法を取ってはいるが、まさに文学であると僕は思う。今、そういう意味で日本に数少ない作家だと思う。
前 . . . 本文を読む
ミステリーファンなら一度は密室の謎解きに憑かれたことがみんなあるに違いない。この本は密室が好きな人にはたまらない本です。目がきりりと大きくなります。とにかくすごいです。
でも肝心の密室のその謎解き訓話に吾輩は疲れ果ててしまいました。密室を解くその分量はこの本の大部分を占めています。でも真犯人が出てはまた出るこの趣向は斬新です。動機はあまりにつまらないものでしたが、、。
でもミステリー好きには絶 . . . 本文を読む
ワクワクさせるような歴史ミステリーで、前半はとても面白い展開でかなりいい。ところが活劇じみたサスペンスを入れる辺りから、普通の冒険小説っぽくなってきた。これはミステリーではなかったの?という不満が徐々に湧き出て、そのままエンドへ。
まあ、前半がそこらの小説では味わえないわくわく感がすごく、最後まで持たなかったのが惜しいが、それでも誰も死ぬことなくまあこういう歴史ミステリーもたまにがいいか、と感じ . . . 本文を読む
かなり詳しい法廷叙述とタイムリープの咬合。そのタイムリープが2人もいるというトンデモ設定。斬新だ。
最初は面白く読み続けていたが、そのうちこのタイムリープ自体に慣れて来て、そこにミステリーを入れるのはグッドアイデアなのだが、無理があるし、馬鹿馬鹿しいとも思えるようになる。
ミステリーでは後半がどんどん面白くなるのが常道だが、僕の場合、だんだん垂れてきた。今まで五十嵐の作品はとても面白く読ませて . . . 本文を読む
題名からして、すぐ読もうと思いました。期待が多少あったんだけど、設定等それ以上の出来。ミステリー的にはそれほどでもないが、全体を包む詩的で小哲学的な内容もなかなかほれぼれする。僕の好みである。
何と言っても、AからFまでの6つの観覧車に当然ながら6つの人生がうごめいている。構成が、観覧車で回っているように短い文章でぐるぐる回る。そしてラス前では、順序が破綻し6つの観覧車が後戻りする。そして文字数 . . . 本文を読む
ユニークなSF的設定を題材にしたミステリーです。話の展開がよどみなく面白く、しかも根はシュールで、人は最後の時を迎える時にどう立ち向かえるか、といった本源的なところにまで及んでいる。その意味でも、数あるミステリーの中で注目すべき本であろう。
ただこの本を本格ミステリーとして捉えたら、意外な犯人という条件は合格しているが、如何に終末とはいえ、殺害動機がいかにも浅すぎる。やはり、ミステリーにおいて、 . . . 本文を読む
読む人の年齢を選ぶのでしょうか、あの文体が落ち着かず、登場人物の名前も覚えにくく、というか、主人公でさえ読めない名前で、これが延々と続くかのか、と思うと少々げんなりだったが、本格ミステリー通りにそのうちどんどん人が死んでいってくれる展開はなかなかのものでした。
でもトリックが結構甘く、しかも殺害動機があれほど完璧だったら、探偵はいなくてもそのうち犯人にたどり着くのは必定と思うと、ちょっとミステリ . . . 本文を読む
徐々に分かってくる真実をページを繰るごとに確かめる至福。この本は正直ミステリーとは言えないかもしれないが、それでもラスト近くに潜む思いがけない真実を知ると、読者は頭をガーンと殴られたような衝撃を受けるだろう。その問題提起は鋭い。立派にミステリたり得る。
ラスト、みんなが日光に集まる設定は映画的で秀逸だ。珍しく本を読んで泣いてしまった自分に気づく。こういうことはあまりない。今年の収穫作品であり、誰 . . . 本文を読む
面白い作品を書くことで定評のある深木作品、証言だけで成り立っている構成もさることながら、ミステリーとしての持って行きどころが秀逸で、さすが素晴らしいと思う。
ただ、わが子が殺人を計画しているという設定を警察までが信じ込むことはあり得なく、このことがこの作品の抜本的な失敗部分であります。
動機等についてもかなり無理があり、ミステリーファンとしては鼻白みます。でも読んでいて面白いのだから仕方がない . . . 本文を読む