結婚していた女が男と駆け落ちし男を捨てる。男は時間の経過を経て自分の寿命が短いことに気づいたとき、ふと逃げた女に会ってみたくなる。そして、、。
夫を捨ててからの女の人生はまさにどぶ水を飲んだすさんだ生活ぶりを呈している。あまりに悲惨なので、少々小説的かなあと思ってしまうほどである。
それでも男の朴訥とした話しぶりにがいかにも女の人生のすべてを受け止めているようで、舞台は和やかな静謐に満ちている . . . 本文を読む
主人公があの弁護士でないこと(御子柴礼司シリーズ)、そしてあの検事の息子でないこと(岬洋介シリーズ)は中山の小説をこれほど普通のミステリーにしてしまうのか、と読みながら思ってはいたものの、これは内容的に、かなり目を背けなければならない描写のあるのを知りつつ、例の一連のどんでん返し(それも何重にも仕掛けられていることなど)などからミステリーファンとしては狂喜してしまいました。
特にカエル男の生い立 . . . 本文を読む