「私とは何か」という永遠の謎を解くために哲学はあるとも言われるが、それを堂々と真正面から映画でやってのけた骨太の傑作であります。
若葉以外は根っからの大阪弁をみんなものすごくひりひりするほど鋭くしゃべっている。これがまずド迫力を見せつけた。リアルでこの作品には欠かせない設定である。
自分がこの世に存在しているのに、なぜいるべき私がいないのか。紙一枚で私の存在がなくなることの強烈な事実。おぞましい事実。だけど私はここに存在している。この私とは何なのか?市子の身体の奥底から心の叫び。この悲鳴が市子の冷えた心象を通して俺に怒涛のように押し寄せる。
日本映画でまれにみる傑作の誕生の瞬間を俺はしかと見た。
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