わが敬愛する映画作家タル・ベーラ作品。前回の「サタン・タンゴ」が7時間の作品だったから、今回は2時間半、随分と短くなったと思った。そして相変わらずのカット数の少なさ。その分カメラは長回しになるが、俳優たち、そして多数のエキストラたちは一寸の乱れもなく、カメラに映りこむ。すごい。
これが20年ほど前に制作された映画だとは思わず、見ている間は最近のウクライナ侵攻を見立てているなあと思っていたら、もっと広くこの映画は捉えていて、どこの国でも、つまり人類の歴史に及ぶ繰り返し行われている出来事を丹念に積み上げて、映像化していることに我々は気づく。
動乱というか、革命に狂気はつきもの。そんなものすごい迫力が2時間半映像を覆っている。でもそれは我々人間たちが性懲りもなく行って来た歴史の一コマなのだ。
そんな大きな視点から見た人間史とでもいうべき作品に仕上げている。傑作である。
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