小学生のとき、次のような文を読んだことがある。
ある小学生の理科の自由研究に関する文で、テーマは
「石は、川の上流から下流に行くに従って、どのように丸くなるのか」
というものだった。
川の上流から下流までたどって、石を拾ってくる。
石の丸さの程度を、お兄さんに教えてもらって「円率」という数値で表し、下流に行くに従って丸くなる過程を実証したのである。
ところで、円率とはなんだろう。
その文には、円率の具体的な式は書いていなかったし、私は円率なるものを習ったことがない。
おそらく、図形の面積と周長の関係で決まる値だと考えられる。
ネットで調べると、「円形度」というのがあり、これが上の円率に相当するものと思われる。
円形度=4πS÷L2 (Sは面積、Lは周長)
であり、やはり面積と周長の関係で決まる数値である。
真円が円形度=1.0であり、他の図形は1.0より小さくなる(正方形は0.79)。
その文には、石の面積と周長をどのように測定したのか書いていなかったが、小学生でもできる方法を考えてみよう。
まず、紙に石を置き、細い筆記具を垂直に立てて石の周囲をなぞる。
面積を求めるには、紙に書いた図形に小さな正方形の方眼をかぶせ、図形の中の正方形の数を数える。
図形の周辺は欠けた正方形になるが、その数の半分を前の数に加える。
その総数に正方形の面積をかければ図形の面積が求まる。正方形が小さいほど真の面積に近い。
周長を求めるには、紙に写した形に沿って、石に糸を巻きつけ、その長さを測ればよい。
それにしてもこの小学生は、発想といい、手法といい、高度な自由研究をやったと思わざるを得ない。
石の丸さの程度を、見た目ではなく数値で評価したところがえらい。
大人になったら、自然科学系の学者になったのではないだろうか。