この映画を見る切っ掛けは、渡辺先生のアドバイスからだ。
火曜日の夜に行われているゼミで孤独について討論している際に孤独を理解するうえで参考になるので見ることを推薦していただいた映画だ。
この映画はハリウッド映画のように観客に対して肩肘はらない娯楽を提供するものではない。ベルリンの街並みを舞台に静かな流れのなか、意味深い語りで進行していく。
観客各自に「孤独」や「生きること」を考えさせる映画だ。
天使というとディズニーの影響からか、可愛い白いレースのワンピースに身を包んだ少女や若くて美しい女性が連想される。
しかしながら、この作品に出てくる天使ダミエルは黒いロングコートに身を包んだ中年男性である。街中にある図書館内を彷徨き回るのも多くの男性の天使たちだ。モノクロの世界に暮らす天使たち。人間とは異なり永遠の命を持っている天使たち。天使ダミエルは永遠の霊であり、人間に対して声をきくだけである。
自殺を試みようとしている青年の肩をおしてあげることもできる。死にかかっている人の命も復活できるのである。
しかし、仮に命をすくってあげてもその行為や存在を気づかれることはない。
サーカスのブランコのりの女性はマリオン。彼女には甘える相手もいない。客の入りの悪いサーカスは今夜を最後に閉鎖される寂しさ。天使のダミエルも人間のマリオンも孤独。ダミエルはマリオンに恋をしたが気づかれない寂しさと孤独。
人間に恋をすると天使は死ぬというのにダミエルは人間になった。永遠の命を捨てて。
そこからカラーの世界にフィルムは変わる。怪我をした頭から血を流したダニエルは自分の血を確認。手に付いた血を口に運び、その臭いや味をも確認している。そして通行人にベルリンの壁に塗られた絵画に使用されている色を確認する。赤、黄、青・・。色を認識する喜びをかみ締めながら。
その後、コーヒースタンドで売られているコーヒーを美味しそうに飲むダニエル。当然のようにめぐり合うダニエルとマリオン。
最後に、一本のロープを登り演技をするマリオン。そしてそのロープを下で支えるダニエル。
その瞬間の二人には「孤独」は存在していない。
「生きることの肯定」、「生きることの悲しさやすばらしさ」を感じさせる、また孤独とは一方向からのみ見てはいけない。そんなことを教えてくれる映画であった。
追記:大学のゼミの仲間であり、高円寺のライブハウスを中心に活動しているミュージシャン宮入恭平さんが青弓社から『ライブハウス文化論』を出版されました。私の手元にも本日現物が届きました。近日中に書評書きます。
http://homepage.mac.com/kyohei_miyairi/
火曜日の夜に行われているゼミで孤独について討論している際に孤独を理解するうえで参考になるので見ることを推薦していただいた映画だ。
この映画はハリウッド映画のように観客に対して肩肘はらない娯楽を提供するものではない。ベルリンの街並みを舞台に静かな流れのなか、意味深い語りで進行していく。
観客各自に「孤独」や「生きること」を考えさせる映画だ。
天使というとディズニーの影響からか、可愛い白いレースのワンピースに身を包んだ少女や若くて美しい女性が連想される。
しかしながら、この作品に出てくる天使ダミエルは黒いロングコートに身を包んだ中年男性である。街中にある図書館内を彷徨き回るのも多くの男性の天使たちだ。モノクロの世界に暮らす天使たち。人間とは異なり永遠の命を持っている天使たち。天使ダミエルは永遠の霊であり、人間に対して声をきくだけである。
自殺を試みようとしている青年の肩をおしてあげることもできる。死にかかっている人の命も復活できるのである。
しかし、仮に命をすくってあげてもその行為や存在を気づかれることはない。
サーカスのブランコのりの女性はマリオン。彼女には甘える相手もいない。客の入りの悪いサーカスは今夜を最後に閉鎖される寂しさ。天使のダミエルも人間のマリオンも孤独。ダミエルはマリオンに恋をしたが気づかれない寂しさと孤独。
人間に恋をすると天使は死ぬというのにダミエルは人間になった。永遠の命を捨てて。
そこからカラーの世界にフィルムは変わる。怪我をした頭から血を流したダニエルは自分の血を確認。手に付いた血を口に運び、その臭いや味をも確認している。そして通行人にベルリンの壁に塗られた絵画に使用されている色を確認する。赤、黄、青・・。色を認識する喜びをかみ締めながら。
その後、コーヒースタンドで売られているコーヒーを美味しそうに飲むダニエル。当然のようにめぐり合うダニエルとマリオン。
最後に、一本のロープを登り演技をするマリオン。そしてそのロープを下で支えるダニエル。
その瞬間の二人には「孤独」は存在していない。
「生きることの肯定」、「生きることの悲しさやすばらしさ」を感じさせる、また孤独とは一方向からのみ見てはいけない。そんなことを教えてくれる映画であった。
追記:大学のゼミの仲間であり、高円寺のライブハウスを中心に活動しているミュージシャン宮入恭平さんが青弓社から『ライブハウス文化論』を出版されました。私の手元にも本日現物が届きました。近日中に書評書きます。
http://homepage.mac.com/kyohei_miyairi/