『恋愛の社会学』(谷本菜穂)を読んで。
久しぶりにジェットコースターに乗ったような気分を味わえる本だった。
薄っぺらな恋愛指南書とは異なり
「恋愛」についての理論的な考察がしっかりされていた。
自己と他者との関係についてとても学ぶことが多かった本でもある。
なかでも最も興味深かったのは70年代と現代との相違だ。
例えば、浮気に関する言説。
雑誌記事において1970年代では
浮気をする男性と女性二人という三者構造が基本。
現在は三者とも限らないし、女性の浮気も登場している。
女性から男性へのアプローチの言葉もまたおもしろい。
70年代には調査した雑誌にはそのようなアプローチは存在しないそうである。
現代は「いっしょにいたい」、「あなただけ」・・。
山田昌弘さんの引用も各所にみられた。
社会を安定させる作用として、
結婚前は自由奔放で「遊んで」いることを許されても、
結婚後は社会秩序を乱さない「真面目」で現実的な生活を要請されている。
さらに、戦後から1970年代までが恋愛結婚の普及期。
なぜならば、生活水準も高くなく結婚後に期待する水準も低かったから普及したそうだ。
結婚生活や子育てについての水準があがったことに反比例して、
73年のオイルショック、
92年のバブル崩壊後には婚姻率が下がったそうである。
その他に本文中に登場した理論を自分へのメモ書きとして
以下に書きとどめておきたい。
「相互行為儀礼」ゴフマン
人間関係を完全に決定づけず曖昧なままに保持することで、
傷つけ合わないような距離を作っている。さりげない気遣い。
「コケットリー概念」ジンメル
イエスとノーの不安定な遊戯、承諾の回り道であるかもしれない拒絶、
その後ろに取り消しが立っている承諾
「再帰性」ギデンズ
社会の実際の営みが、まさしくその営みに関して新たに得た情報によって
つねに吟味、改善され、その結果、その営み自体の特性を本質的に変えていく
「フィギュール」バルト
ディスクール(=言説)の破片。例えば、「苦悩」、「接触」、
「告白」、「あやまち」、「同一化」といった言葉
筆者によると90年代以降の恋愛として
話が合う、趣味が合う、ノリが合う、
価値観が合うなどが新たな魅力としてあがっているそうだ。
かつての「恋人にするなら同伴して恥ずかしくない人」
という外部とのコミュニケーション関係から内部だけの関係、
つまり恋愛が社会に対して閉ざしたものになったことが特徴だそうだ。
曖昧な関係な似たもの同士による小宇宙。
恋愛だけでなく「若者」の特徴であることを再確認する本でもあった。
久しぶりにジェットコースターに乗ったような気分を味わえる本だった。
薄っぺらな恋愛指南書とは異なり
「恋愛」についての理論的な考察がしっかりされていた。
自己と他者との関係についてとても学ぶことが多かった本でもある。
なかでも最も興味深かったのは70年代と現代との相違だ。
例えば、浮気に関する言説。
雑誌記事において1970年代では
浮気をする男性と女性二人という三者構造が基本。
現在は三者とも限らないし、女性の浮気も登場している。
女性から男性へのアプローチの言葉もまたおもしろい。
70年代には調査した雑誌にはそのようなアプローチは存在しないそうである。
現代は「いっしょにいたい」、「あなただけ」・・。
山田昌弘さんの引用も各所にみられた。
社会を安定させる作用として、
結婚前は自由奔放で「遊んで」いることを許されても、
結婚後は社会秩序を乱さない「真面目」で現実的な生活を要請されている。
さらに、戦後から1970年代までが恋愛結婚の普及期。
なぜならば、生活水準も高くなく結婚後に期待する水準も低かったから普及したそうだ。
結婚生活や子育てについての水準があがったことに反比例して、
73年のオイルショック、
92年のバブル崩壊後には婚姻率が下がったそうである。
その他に本文中に登場した理論を自分へのメモ書きとして
以下に書きとどめておきたい。
「相互行為儀礼」ゴフマン
人間関係を完全に決定づけず曖昧なままに保持することで、
傷つけ合わないような距離を作っている。さりげない気遣い。
「コケットリー概念」ジンメル
イエスとノーの不安定な遊戯、承諾の回り道であるかもしれない拒絶、
その後ろに取り消しが立っている承諾
「再帰性」ギデンズ
社会の実際の営みが、まさしくその営みに関して新たに得た情報によって
つねに吟味、改善され、その結果、その営み自体の特性を本質的に変えていく
「フィギュール」バルト
ディスクール(=言説)の破片。例えば、「苦悩」、「接触」、
「告白」、「あやまち」、「同一化」といった言葉
筆者によると90年代以降の恋愛として
話が合う、趣味が合う、ノリが合う、
価値観が合うなどが新たな魅力としてあがっているそうだ。
かつての「恋人にするなら同伴して恥ずかしくない人」
という外部とのコミュニケーション関係から内部だけの関係、
つまり恋愛が社会に対して閉ざしたものになったことが特徴だそうだ。
曖昧な関係な似たもの同士による小宇宙。
恋愛だけでなく「若者」の特徴であることを再確認する本でもあった。