入社して、就業時間後に先輩から声がかかる夜の付き合い。
その場での話題の中心は、会社のこと。
上司のペースに合わせて酒を飲みながら、先輩や上司の言葉に耳を傾ける。
人間関係に波風を立てないように「そうなんですか?」「そうですよね」と感動と同調を入り混じらせながらの相づちの連発。
ずっとずっと仕事に打ち込んできた中年男性たち。
休日返上で、お得意さんとの関係構築と商談成立を目的に行ってきた接待ゴルフに接待マージャン。
会社の慰安旅行では、「本日は無礼講!」という言葉を信じるわけにもいかずに・・。
温泉地に行って、酒を飲んでも「会社員である顔」を忘れることはタブーだった男たち。
平日の帰宅は午前様。
休日も自宅にいなければ、当然ながら我が家に居場所のなかった男性たち。
そんな、日本を支えてきた団塊世代の男性たちが大量に退職年齢を迎えている。
会社に勤務していた時は、1日の殆どの時間を過ごしていた職場。
定年退職すると殆どの時間がフリータイムとなってしまう。
そうなると、妻からは煙たがれてしまう。
妻がそれまでに築いてきた友人と外出するとなると「留守番」を命じられる男たち。
仕事に没頭しすぎて、友人との人間関係も希薄になってしまった男たち。
うちの職場を定年退職された先輩と話をしていると、
月に一回程は元同僚に固定電話から電話しているとのこと。
毎週国分寺で会う(仮称)タモリさんも同様のことを語られていた。
80歳以上の4人に1人が痴ほう症だそうだ。
かつても記載したが、
デイケアセンターから迎えにくる軽ワゴン車内で、一人の老人が大声で叫んでいる。
発せられる言葉は全てが命令調!
ヘルパー運転手に疑問を投げかけてみると、
その老人はかつて大企業に勤めていて管理職をしていたそうです。
肩書を剥ぎ取られて、痴ほうになっても会社員。
ここでも男性の哀れを感じてしまいます。
経済が上向きの時代には彼らは企業戦士と持てはやされ、
そしてその気にさせられ・・。
定年退職後は企業臭のついたゴミ扱いされてきた男たちの多さと悲哀を強く感じてしいます。
男女共同参画社会基本法が施行されたのは1999年。
まだ、15年ほど前の話です。
それほど長い時は経っていません。
多くの中高年男性たちの“男はつらいよ”の状態はしばらく続きそうです。
<もちろん女も辛いことも判っての記述であることをご理解下さい。>