Juwat研究室に集う研究者の盛田さんが「シンガポールの光と影」という書籍を出版されました。
「シンガポール」について
地上200mの屋上の舟形プールが特徴的な「マリーナベイサンズ」や「リゾートワールドセントーサ」などが話題となっているように
私のその国に対してのイメージも「美しい国」であり、
アジアのハブとしても「経済の発展している国」であり
そして、新婚旅行で行った国といったところでしょうか。
まさにシンガポールは我々日本人にとっては、
観光として行きたい「美しい国」だと思います。
したがってシンガポールについては多くの観光案内ブックが出版されています。
しかし、シンガポールの映画分析を通じて、
シンガポールと言う国を理解するような論文や書籍は盛田さんの作品が初めてです。
この本は博士論文にかなり手を加えてあるために、
とても読みやすい作品になっています。
なんと帯にはあの有名な内田樹さんの推薦の辞も書かれています。
読んでいくと分かるのですが、
数多くのシンガポール映画を視聴し、
さらに映画監督などからの聞き取り調査などを行い、
内容に厚みが感じられます。
日本語でもなく、英語版でも無い華語や方言も混じった映画視聴にはかなりの時間を要したと思われます。
さて、シンガポールのエレベーター内には「Fine」の注意書きが目立ちます。
つまり法に反することをすれば、厳しく罰する。
それが社会の姿勢です。
経済の反映を成し遂げたシンガポールが次に狙うのは、
映画制作に代表される文化産業だそうです。
映画産業を育てたいが、自由には作成させたくないシンガポールは厳しいレイティングシステムを採用しています。
例えば、
PG・・成人保護者の助言や指導が適当
R21・・21歳未満の鑑賞禁止
NAR・・上映禁止
レイティングにかからないように、それを掻い潜りながら他民族の問題、貧富の差の問題、言語の問題を映画で表現している作品紹介事例がこの本には取り上げられています。
盛田さんは影の部分について書かれています。
「政府は、経済発展を基盤とする近代化を推進する上で、言語政策と文化・芸術政策の維持は必須の政策だと確信している。しかし、多言語・多文化社会を標榜しておきながら、方言と大衆文化を無視した結果は、今や同国の歴史を語り継ぐ上で、深刻な障害となっている。」
これで、書籍紹介を終えたいと思います。
沸点の低い盛田さんに怒られないかが心配です。