東洋大学のイメージを向上させ、
学生が集まる人気校にした立役者のSさん。
そして閉鎖されたミネスタ州立大学秋田校の校舎を転用して
公立国際教養大学をスタートさせるにあたって事務部門の責任者をされたSさんのお話を少人数で伺う機会がありました。
国際教養大学の教員は全世界から公募したそうです。
日本語は全く判らないが優秀な教員確保にも成功。
当然のことながら学生と教員のコミュニケーションは英語となり、
すべての授業が英語で行われているそうです。
Sさんが大ナタを振るったのは事務的な仕事と教員の仕事の明確化だそうです。
一般的には、入学試験の監督官は大学教員、採点も然りです。
合否の判定会議も教授会で行われるのが普通だと思われます。
この国際教養大学は入試すべてをアドミッションオフィースが担当するそうです。
つまり、入試の監督から合否の決定まで全てアドミッションが責任を持って実施するのです。
教員は入試には関与しない。
経営の専門家集団ではない教授会に任せる必要はないというのがSさんの考えです。
大学教員は研究と教育をしっかりやってくれれば良いことを強調されていました。
公立大学は4年がキーワードということも繰り返されました。
4年とは開設から卒業生が出る完成年度までを意味します。
通常の公立大学は開設時に県や市から優秀な事務員が派遣されて業務を遂行するのですが、4年経つと元の職場に戻るのが慣例。
それらの人が去ってしまうと同時に、大学のレベルが下がり始めることが公立の他大学の検証から分かったそうです。
これを理解しているので、国際教養大学は派遣出向してきた職員も4年後も大学に残るようにしたのだそうです。
現在でも優秀な学生を確保できているハイレベルな公立大学として評価されていることは言うまでもないことです。
Sさんは現在、女子栄養大の理事もされている実力者です。
多くの大学が高校に「出張講義」、「出前講義」などを実施してのイメージ向上作戦を展開しています。
Sさんはこの大学でも大学教員は研究と教育に専念すれば良いことを徹底されています。
よってSさんのアイデアで大学教員を高校に派遣するのではなく、
栄養について面白く語れる全国に点在する卒業生の活用を始めたそうです。
年間400件以上の出張講義の実施。
すごいと思います。
また、企業との連携、高大連系についての資料も見せていただきましたが、
そうそうたる企業や高校の数に驚かされました。
その他、私学は山手線内の大学が定員確保できているが、
山手線以外にある大学は留学生の入学によって辛うじて定員確保できているという話やカタカタ名の奇抜な学部を新設しても恒常的には学生を確保できない話も聞けました。
UI(ユニバーシティー・アイデンティティ)に則った大学経営がされるべきとの話は納得できました。
確かに○○工業大学の看護学部新設には違和感を感じてしまいます。