教員資格や自動車免許状などの資格ではなく
そのレベルを表す「級」の「資格」って何だろうかと考えてしまう今日この頃です。
商業高校出身の私は、何十年も前の高校在学時にいくつかの検定試験を受験しました。
そられは全国高商業等学校協会主催の「英語」、「簿記」、「珠算」。
当時、すべて一級を取得しましたが、
これらの資格は高校生のレベルとしては良くできましたという証にすぎません。
商業高校を卒業してしまえば、それらの級の価値はほとんど無くなってしまいます。
じっさいに全商英検の1級は、英検協会の2級程度の実力であり、主催協会や主催財団による実力の違いも明らかです。
さて、そもそも「英検」や「漢検」などは、学習者本人が自分の実力を客観的に知るために受験するものです。
あるいは、目標級を設定してそれに向けてがんばるためのやる気を起こしてくれるもの。
加えて、他者にその実力をわかり易く説明するための指標です。
近年では、中学や高校の現場では「英検」を積極的に受験する生徒がとても多くなっています。
その理由は他者に自らの実力を示す必要性が増しているからです。
特に大学受験では、近年「英検」などの英語の実力を証明する書類の提出を求める大学が多くなってきました。
推薦入試での優遇や一般入試においても、出願時に英検合格の証明書等を事前に提出すると優遇されます。
例えば、英検準1級取得者の英語科目は100点満点扱い。
2級の場合には80点となります。
ある都内の大学では、英語を受験科目の最終科目に設定。
事前に英検合格証書を提出してある場合には英語を受験しないで退場可能となっています。
卒業生の話ではその場に残った受験生の数があまりにも少なないので不安に感じることもあるそうです。
退場者は全員が8割以上の英語得点になることに不安を感じるのは当然です。
職場では、英検合格に的をしぼった授業展開を望む声が他教科の担任から出てきています。
英語は英語であって、英検の英語などはナンセンスだと思うのですが。
受験生の保護者が、在籍している生徒の英検取得率を気にし、英検準一級合格者数に魅力を感じることが現実のようです。
手段と目的が逆になっていることを問題である思う私ですが、英検合格率を上げる声には抵抗できそうにもありません。
それぞれの生徒の英語力が異なるのに、一斉授業で生徒のレベルに応じた英検受験対策をすることは本当にできるのでしょうか。