ある高校3年生のクラス担任が卒業クラス文集を作るとのことです。
裏方の仕事をしている私は卒業生に対して祝辞を述べることもありません。
そんな私に対して私の誕生日を記憶していて、毎年祝いの言葉をくれる先生からクラスの卒業生に向けてのお祝いメッセージを書いて欲しいとの依頼を受けました。
あまりにも真剣なお願いだったので断る理由もなく承諾したしだいです。
下にあるのはそれに応じて書いたお祝いメッセージです。
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さて、皆さん、卒業されると●●高校が「母校」になりますね。ところで「母校」っていったい何でしょうか?この校地にある校舎は何年経ってもその建物に懐かしさを感じるかもしれませんが、建物から感じる母校感は一瞬の懐かしさにすぎません。
母校とは高校生という多感な時に時間と場所を共有した級友や学内の友人たち、そして担任の永●先生、寺●先生、そしてその他の先生たちとの「結びの記憶」には違いありません。
ちなみに英語で母校はalma materですが、日本語訳にするとなぜか母校となり、「母」という漢字が入ってくる不思議さがあります。私は、音が同じなので「母校」は「母港」であるとの解釈をしています。大海原に出航した船は母港のことなど振り返ることもなく、その目的地に向けて突き進んでいくのです。
しかしながら、長期の航海においての船体の点検やケアが必要な時にはドック(母港)に入港しますね。人間も同じだと思います。人生において心が疲れたり、弱音を吐きたくなったりして高校生のあの頃に戻りたいという気持ちが沸き起こった時に癒しやケアを差し伸べてくれるのは母校なのです。
最後に●●高校の校訓は「勤労と創造」です。あなた方のクラスは校訓を前面に打ち出した創造力のある(creative)クラスとして設置されました。十週間のセブ島での英語特訓やNET(Native English Teacher)が副担任、そしてグローバルイシューという問題を探究して発表する授業などの影響もあり、あなた方は自らの色、自らの個性を表に出しながらも他者に気を配ることができる生徒集団であったと思います。これからもそのままの良さを生かしながら健康第一に努め、クリエイティブであってください。後悔しない航海を祈ります。
それではお元気で!