
放送から三年近くが経とうとしている「灰羽連盟」を今さら紹介するのはナンセンスと突込みが入るかもしれない。しかし、これから本編を話やキャラなどに区切って考察していく予定なので、その準備段階として、はじめて「灰羽連盟」を見るときこんなとこに注目すると面白いよ、というようなことを書いておきたい[それが推薦文章にもなるだろうし]。漫然と見ても面白い作品ではあるが、それだと「何となくいい雰囲気の作品」という感想で終わりかねないからである。では、どんな部分に留意したほうがよいのだろうか。それは二つの点に集約される。
◎灰羽という存在の特殊性に留意しながらラッカ(=ヒロイン)達の行動を捉えること
私達人間の感覚をそのまま当てはめると、おそらく違和感を覚える部分がある。このへん作風は違えど、攻殻機動隊を挙げるとわかりやすいかも。彼らは我々に近い存在ながら、電脳化・擬体化・ゴーストといったその時代特有の問題を抱えている。だから作中における「魂」とか「存在」といった概念は、我々の世界よりも切実さや重みを伴ったものとなっている。灰羽もこれに似ているところがあると思のだ[方向性は全然違うけど]。そして「灰羽連盟」は、灰羽という存在の特殊性を前提に展開する作品なのである。
◎二面性の表現
灰羽の天使のような風貌から、ほのぼのとした明るい内容を想像されるかもしれない。それは半分正解で半分間違いだ。ネタバレを防ぐために詳しくは言わないけれど、灰羽たちは決して無邪気に生活しているわけではないし、輪っかと背中の羽に関する表現にも二面性が見られるからだ[観たことのある人は1、6、7話を思い出してもらえばわかると思う]。
また、前回Wonderingの歌詞を引用して「実存」というテーマが重要な柱だと述べたけれど、そういった哲学的内容に終始しているわけではない。むしろ意識的なほど生活臭に満ち溢れている。
以上二点を頭の片隅にでも置いて観てもらえば、作品世界への導入や表現の意図の理解がよりスムーズになるのではないかと思う。もちろん、「灰羽」世界そのものの魅力も大きい。20世紀初頭の西欧都市を思わせるような世界の醸し出す異国情緒や、風車の回る丘などが演出する牧歌的な雰囲気は視聴者を大いに引きつけることだろう。
この文章で、より多くの人が「灰羽」世界にふれることになるなら幸いである。
※画像の著作権は安倍吉俊氏に属します。
◎灰羽という存在の特殊性に留意しながらラッカ(=ヒロイン)達の行動を捉えること
私達人間の感覚をそのまま当てはめると、おそらく違和感を覚える部分がある。このへん作風は違えど、攻殻機動隊を挙げるとわかりやすいかも。彼らは我々に近い存在ながら、電脳化・擬体化・ゴーストといったその時代特有の問題を抱えている。だから作中における「魂」とか「存在」といった概念は、我々の世界よりも切実さや重みを伴ったものとなっている。灰羽もこれに似ているところがあると思のだ[方向性は全然違うけど]。そして「灰羽連盟」は、灰羽という存在の特殊性を前提に展開する作品なのである。
◎二面性の表現
灰羽の天使のような風貌から、ほのぼのとした明るい内容を想像されるかもしれない。それは半分正解で半分間違いだ。ネタバレを防ぐために詳しくは言わないけれど、灰羽たちは決して無邪気に生活しているわけではないし、輪っかと背中の羽に関する表現にも二面性が見られるからだ[観たことのある人は1、6、7話を思い出してもらえばわかると思う]。
また、前回Wonderingの歌詞を引用して「実存」というテーマが重要な柱だと述べたけれど、そういった哲学的内容に終始しているわけではない。むしろ意識的なほど生活臭に満ち溢れている。
以上二点を頭の片隅にでも置いて観てもらえば、作品世界への導入や表現の意図の理解がよりスムーズになるのではないかと思う。もちろん、「灰羽」世界そのものの魅力も大きい。20世紀初頭の西欧都市を思わせるような世界の醸し出す異国情緒や、風車の回る丘などが演出する牧歌的な雰囲気は視聴者を大いに引きつけることだろう。
この文章で、より多くの人が「灰羽」世界にふれることになるなら幸いである。
※画像の著作権は安倍吉俊氏に属します。