『茶の本』は、岡倉天心が日本の茶道を欧米に紹介するため1906年に著した『The book of Tea』の日本語訳である。いわゆる「茶道」の作法を説明しているだけでなく、中国における茶の歴史、欧米への茶の普及、抹茶と煎茶、道教と茶の精神性なども語っている。
こういった本を読むとき、中身自体の妥当性も去ることながら、意図と実態にも注目することが大事である、という事例として取り上げ . . . 本文を読む
『イデオロギーとユートピア』という本で、ある集団の来歴を分析する手法=知識社会学が提唱されていたので、ここではいわゆる「ネトウヨ」の土台をなしているとされる「シニア右翼」の来歴について述べた動画を紹介したい。
「シニア右翼」とはいわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる発言をする人々の土台が50歳以上の中高年者で、そうなる背景(遅れてきたインターネットユーザーで、そこでの . . . 本文を読む
こちらはリチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』の中で取り上げられている、ナボコフの『ロリータ』と、オーウェルの『1984年』が、それぞれどのように残酷さやアイロニーを表現しているか、について解説した動画である。
前者の『ロリータ』については、自身の理想像を他人に押し付ける残酷さ(独善性)と、そこへの執着によって他人の感情の機微に気付かなくなる無関心とその残酷さについ . . . 本文を読む
マンハイム『イデオロギーとユートピア』の覚書は一旦これで最後。「内容終わってないのになんで?」という話だが、結論「時事評論としては興味深い内容だけど、それ以上ではない」と感じたからである。
これはマンハイムの仕事自体の質が低い、というのとはちょっと違う気がする。100年経って後期近代(成熟社会)となり、思想の相対化といったことが余りにも当然になった現在では、あ . . . 本文を読む
大瀬崎断崖の駐車場から歩くこと約20分で、福江島の西端、大瀬崎灯台に到着。
写真を見てもらえればわかる通りの雄大な自然にも圧倒されるが、
この遺跡然とした雰囲気も、何やら超古代文明の跡地か何か . . . 本文を読む
1.九州周遊
2.中部&東海
3.北海道(野付半島)
4.トカラ列島~奄美大島
5.屋久島
・・・といった具合に次の行き先は様々思いつくが、あいにくとモチベーションがゼロでございやす。なんというか、どうしてもあの場所の~を見たいといった感情が湧いてこねーんだよなあ。
1はスケール的にはデカいが、全ての県に(単独旅行じゃないが)何回も行ったことがあるんで、新鮮味に欠ける可 . . . 本文を読む
「客観」という名の真理への到り方は、ヨーロッパにおいてはイデア論を唱えたプラトンの演繹的手法、世界を分類・分析したアリストテレスの帰納的手法の対立にまでさかのぼることができる(もちろん、そもそも「万物の根源」という問題設定が、民族・部族によってバラバラな神話的世界理解から離れ、別のアプローチから世界の真理に到達しようという試みではあったのだが)。
そこから中世 . . . 本文を読む
客観の揺らぎを理論化した存在としてはヒュームやカントなどが挙げられるが、それだけだと単なる「哲学」の領域の問題に過ぎないように思われるだろう。しかしそこには、より幅広い歴史的潮流の影響が見られる。
それが即ち、ルネサンス以来の理性重視と普遍主義(ダビデ象の黄金比を想起)、そしてそれに反発する感情重視と個別主義の対立。前者の潮流は啓蒙思想として単なる認識論の領域に留 . . . 本文を読む