昨日は「自己責任論が生んだ『ゼロリスク世代の未来像』」という記事を書いたが、その元になった本の一つは金間大介『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』である。
この本では近年の大学生の傾向が統計データを元に語られ、それが30代以上の各世代や世界の人々と比較されたりしているが、そこに強くみられる傾向は、「とにかく自分に自信がなく、視線はどこまでも内向きで、どこまでも主体性がない」とい . . . 本文を読む
ここまで「ファスト教養」や動画の倍速視聴・ネタバレ歓迎が広がっている要因について様々書いてきた。そこでは情報環境の変化や自己責任論が関わっているという説明を様々な角度からしてきたが、「今の若者たちはなぜ『絶対に失敗したくない』のか」という対談記事が参考になると思ったので掲載しておきたい。詳細は記事を確認していただくとして、要は「出る杭は打たれる」ような環境、極端な自己責任論の内面化、自己肯定感の低 . . . 本文を読む
これまで「ファスト教養」が広がってきた背景とその駆逐の難しさ、あるいは自分の「教養」観念の形成について述べてきた。それを踏まえ、「ファスト教養」という単純化されビジネス合理性に特化した観念と最も程遠い発想に触れられる小林秀雄と岡潔の対談、『人間の建設』を紹介したい。
これは主題を定めての対談ではないこともあって、話の内容は千変万化である。ゆえにある時読んで得た印象や受けた感銘があ . . . 本文を読む
前の記事では、高校時代までの経験をもとに「学校で習うレベルのものは『教養』というカテゴリーで認識していない」と書いた。それが大学に入ってどのように展開したか、というのが以下の内容だが、結論から言ってしまえば、膨大な量の研究書と、それが拠って立つ先行研究や諸史料を目の当たりにすると、それらの精髄がたかだか10分やそこらの内容にまとめるなど無理筋な話だと体感としてわかるし、ゆえに鵜呑みにすることもあり . . . 本文を読む
私が「ファスト教養」というものを個人的には全く受け入れられない、という話はすでに何度も述べた通りである。また、私の「教養」観念については、それを体現する人物としてアリストテレス、ヴィトゲンシュタイン、小室直樹を例として挙げた。
今回の記事では、その点を少し掘り下げ、自分の「教養」観念の形成について書いてみたいと思う。というのも、それが結果としては「ファスト教養」に対する批判的視座 . . . 本文を読む
「いわゆる『ファスト教養』とその問題点」という記事で、「ファスト教養」の特徴を「ファストフードのように簡単に摂取できること」、「ビジネスに役立つか否か」という視点が全面化していることの2つだと述べた。
そして1については、そもそも簡便に理解できるよう加工されたマテリアルは昔から多々存在しているのであって、ひとり「ファスト教養」のみの特徴ではなく . . . 本文を読む
日本が経済成長の中で「エコノミック・アニマル」と呼ばれたのはもう50年以上も前の話だが、今日の「ファスト教養」、すなわちファストフード的に加工された情報を、専ら仕事に役立つという観点だけで求める姿勢はそれと相似形に見えるのは私だけだろうか?
とはいえ、仮にこういった見方が正しいとしても、「出し抜く」ことを意識した「ファスト教養」には社会的視点が欠落しており、群れと . . . 本文を読む
You Tubeの動画を見ていた際、何やら悲劇的なBGMとともに組み合う男二人の画像、そして「凶悪」などで有名な白石和彌監督の名前。もうこの時点で何事かと興味を持ったのだが、最後に「仮面ライダーBLACK SUN」のタイトルを見て一瞬考え込んだ。「仮面ライダーってこんな暗いトーンだったっけ・・・??」。
その疑問を持った後しばらく忘れていたのだが、もう一度同じ . . . 本文を読む
「『1日3回20分の座り込み』に意味ある?ひろゆきの辺野古ツイートに基地反対派が『完敗』した根本原因」という記事が興味深かったので少し紹介したい。
これは窪田順生によるひろゆき(西村博之)が沖縄の座り込み運動に対して冷笑的なツイートをしたことに対し、一時大炎上が起こったが、結局フォロワーは増えてノーダメージと言ってよい結末になったこと、そしてなぜそのような展開になったのかを考察し . . . 本文を読む
AI作画の質向上とそれがもたらす影響について数回にわたり記事を書いた。そこでは、質の高い「養殖」モノを安価に手に入れられるようになった結果として「天然」にこだわる必要がなくなった状況や(経済衰退がそれを後押しする)、人が「ノイズ」(多様性・複雑性)より「予定調和」(確定記述の束)を好む大きな流れをさらに加速させるだろうと述べた。
AI作画について触れたのは「ファスト映画」や「ファ . . . 本文を読む