『イデオロギーとユートピア』という本で、ある集団の来歴を分析する手法=知識社会学が提唱されていたので、ここではいわゆる「ネトウヨ」の土台をなしているとされる「シニア右翼」の来歴について述べた動画を紹介したい。
「シニア右翼」とはいわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる発言をする人々の土台が50歳以上の中高年者で、そうなる背景(遅れてきたインターネットユーザーで、そこでの情報リテラシーがない)とその量は概ね200万程度と分析しているが、彼らの行動様式を著者自身の具体的経験も通じて説明しているのが興味深い(この点『愛国奴』がその組織構造やメンタリティを活写しているので、よろしければどうぞ)。
つまり「ネトウヨ」的発言・書き込みをしているのはミドルアッパーと呼ばれる層の人々であり、それはフロムが分析したナチズムの熱心な支持者=没落中間層、あるいは丸山真男が指摘した大政翼賛会の主な支持母体である亜インテリとも一致する(例えばドイツなら、貧困層の主な支持グループは世界恐慌後にナチスと並んで二大政党となる共産党であった。なお、現代日本における年収や就業形態での傾向の違いは、『新・日本の階級社会』などでも調査・分析されている)。
なお、類似のメンタリティをもった集団として戦前の蓑田胸喜(原理日本社)に言及しているが、同じ右派的言説でも平泉澄(皇国史観のイデオローグ)やその支持母体と比較すると、その違いがわかりやすいとも思った。と同時に、高学歴であるのに言説を鵜呑みにし、論の精緻化より不全感の埋め合わせで行動するという特徴は、受験の準エリート(中位~上位の間で最上位は含まない)的だとも感じた。すなわち、学校で習ったことへ穏健な懐疑主義や思考・検証をもって対するのではなく、むしろそれを疑わずに飲み込んで受験という枠組みで成功した人々である(ちなみにこう書くと、「ファスト教養」も興味のレンジが国家には向かないという違いはあれど、根本的なメンタリティは類似していると思われる)。
最後に。
私が「ネトウヨ」に繋がる言説を見ていたのは『ゴーマニズム宣言』で描かれる「新しい教科書を作る会」の活動だが、そこでのドタバタ劇があまりに煩わしそうなので、高校で将来日本史を勉強する道へ進むのを止め、世界史選択にしたのを思い出した(まあ結局受験はダブ歴だったんだがw)。そういった自分の経験も想起しつつ、興味深く見させていただきましたマル😀
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます