品のいい翁から、「たまにはこういうのを読みなさい」と渡されたのが、志水辰夫の小説『帰りなん、いざ』だった。
都会からやってきた翻訳家が過疎の山奥にやってきて奇妙な事件に巻き込まれるという物語だ。
表題の「帰りなん、いざ」は、陶淵明の詩からの引用。
「故郷が荒廃しそうになっているとき、どうして帰らずにいられようか」といった意味らしい。
過疎を背景にした風景・心理描写は詩的ですらある。
それ以上に、人物描写のディテールは秀逸だ。
推理・冒険小説を手がける作家の中でも異色の名文家という評価があるらしい。
ストーリー展開は粗い感じもしたし、自然回帰への精神も感じるが、過疎に住むオイラとしては作者の都会人的センスから抜け出ないのが最後まで気になった。
とはいえ、純文学を担うくらいの叙情的感性のある作家であることも感じた。
都会からやってきた翻訳家が過疎の山奥にやってきて奇妙な事件に巻き込まれるという物語だ。
表題の「帰りなん、いざ」は、陶淵明の詩からの引用。
「故郷が荒廃しそうになっているとき、どうして帰らずにいられようか」といった意味らしい。
過疎を背景にした風景・心理描写は詩的ですらある。
それ以上に、人物描写のディテールは秀逸だ。
推理・冒険小説を手がける作家の中でも異色の名文家という評価があるらしい。
ストーリー展開は粗い感じもしたし、自然回帰への精神も感じるが、過疎に住むオイラとしては作者の都会人的センスから抜け出ないのが最後まで気になった。
とはいえ、純文学を担うくらいの叙情的感性のある作家であることも感じた。