山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

人間が弾丸になるシステム

2018-06-02 21:07:00 | アート・文化

 初老の隠居から「これを観るのじゃ!」と渡されたのが、「FULL METAL JACKET」(監督:スタンリー・キューブリック、1987年制作)のDVDだった。戦争映画らしいのでついつい後回しにしてしまったが、先日やっと観ることができた。

 

        

 映画の半分以上を海兵隊の初年兵の過酷な訓練を執拗に描く。その台詞も聞くに堪えないスラングが乱発される。上官の心身のいじめのため上官を射殺する事件さえ起きてしまう。以前、隠居から借りた大西巨人の漫画版『神聖喜劇』を彷彿とさせる内容だった。侵略的軍隊の内情は日本もアメリカも同じなのがわかる。

 

        

 兵隊のヘルメットに「BORN TO KiLL」と書いてあるのが象徴的だ。「敵方を殺すために生まれた」と自虐的に書いてあるが、監督の提起がここにある。教育を受けた海兵隊員が派遣されたベトナム戦場はまさに、人間がモノとなり、消耗品となり、殺人者となる舞台だった。

 

           

 「フルメタル」は銃芯の金属、「ジャケット」はそれを覆うもので、戦場で一般的に使われる貫通力ある銃弾だ。後半の戦場場面では、仲間が殺され、兵士がますます戦闘マシーンへと変化していく様子が描かれる。主人公の兵士もベトナムの少女狙撃手を躊躇もするが結果的に射殺してしまう。

 

                 

 こうして、戦争とはそれを支える人間の狂気であり、人間性を失い銃弾と化していく過程であるという監督のメッセージが読み取れる。その狂気は、最近の日大アメフト内部のパワハラとダブってしまう。体育会系指導部の日大の体質は陰湿な軍隊そのもの。

 考えない人間を作ることが大学の使命とでもいうのだろうか。じつは前々から日大の体質は50年前から知っていたから驚きはしないけどね。要するに、上意下達に都合がいいイエスマンを形成するのが日大の役割ということだったのだ。「フルメタルジャケット」になれということに違いない。そういえば、意見を持たない迎合人間が増えてきているのと一致する。それは誰にとって都合がいいかは明らかだ。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする