わが家の乏しい灯火に夏の虫が集まる。ガサガサ壁や障子にぶつかりながら音を出してやって来るのは、カブトムシ・カナブン・カミキリムシ・大き目の蛾というのが定番。今回も常連かなと思ったら、「ニイニイゼミ」だった。セミの中では小さく目立たない。蛍光灯の傘に化石のように止まっていた。
ニイニイゼミはふつう 、木の肌と同じような灰色の樹幹に止まっているので見つけにくい。だもんで、畑の脇のサクラに止まっていることが多いようだが、そのそばで泥付きのセミを見た時が何回かある。ニイニイゼミの幼虫は湿気を多く含んだ土壌にいて、 幼虫の体の表面には小さな毛がたくさん生えていて土が付きやすくなっているからだという。
今現在、「ジーッ」と単調に鳴き続けている虫の声がうるさいくらいだが、バッタだとは思うがニイニイゼミかもしれない。なお、セミが鳴くのはオスがメスに対して求愛するためだけなので鳴くのはオス。「蝉時雨」という言葉があるくらい、うるさいわけだ。
珍しく、シャクトリムシの仲間のエダシャクがやってきた。エダシャクは、同じような模様が多いので同定にいつも困惑するが、「クロフオオシロエダシャク」のようだ。
「飛んで火に入る夏の虫」という言葉があるが、語源は中国の史書にあり、それが日本の浄瑠璃で使われて以来、この表現が親しまれていく。その「虫」は「ヒトリガ」だといわれているが、焚き火をやっているとき火の中に突入する蛾がいたのは確かに目撃した。なおその言葉の意味は、危険が待ち構えているにもかかわらず飛び込む者を軽蔑する意味合いで使われることが多い。
和宮様が道端で弱っていた大きなアブを発見して容れ物に捕獲された。緑の目をした3cmくらいの大きなものでどうやら、「ウシアブ」のようだ。メスがウシやウマの血を吸うが、人の血を吸うこともある。毒はないらしいが血を吸われるととてもかゆいという。
ついでに、10日に1回くらい室内に出没するデカい「ムカデ」はやはり気になる。画像は熱湯で処刑したものだが大きさはこれでも縮まっているから、12cmくらいはあったようだ。今年はやけに太くてデカいムカデが多いが理由は分からない。隙間だらけの古民家なので、急いで室内に網のテントを張る。要するに蚊帳(カヤ)を張ったようなものだ。以前、いただいた蚊帳を使ったが重くてセットも大変だったので、簡易テントとなった。おかげで安心して睡眠ができるようになった。
温暖化や領土をめぐる戦争などの拡大で、「飛んで火に入る夏の虫」は、今のわれわれ人類が置かれている状態を表現していることにほかならない、と思う。梅雨明け間近の今、灼熱地獄の世界で生き残れる虫になれるかなー。