「朝日新聞」の元日号の特集では、AIで予測した日本の未来(2050年)は、大きく分けると地方分散型か都市集中型に分かれるという。昭和のシステムは、東京一極集中や単線型仕事人生に象徴される。持続可能な未来を形成するには、地域活力を生かしたエネルギー自給・地域交通などの政策変更をとるとともに、「自ら変わろうとする若者たちが」鍵となるという。「今はわずかな人々しか歩いていない踏み跡でも、この国の未来を導く道になる」と結んでいる。
「社説」では、政治改革の結果は「安倍1強」体制に収斂されてしまったが、官邸の下請け機関と化した「国会」の惨状を憲法53条後段の「四分の一以上の議員要求」があれば臨時国会を開けるという仕組みをもっと利用すべきと問う。そのためにも、「政治に緊張感を持たせる最良の手段は、主権者が厳しい視線をたやさないこと」とまとめる。
「毎日新聞」の1面では、主筆の小松浩氏が「過去の世代が何をなしたかに、あとの世代の生き方も運命づけられる」として、「いまさえよければ」と破滅に至った過去の歴史からわれわれは「未来へつなぐ責任」があると、問う。
「社説」では淡路島の500人ほどの仁井地区では廃校を日本語学校に変え、外国人との交流と地域の活力が出てきた事例を紹介している。このことから、「議論をする。互いを認め合う。結論を受け入れる。リアルな肌ざわり省いたら民主主義は後退する。」と、AIのメカニズムとは違う民主主義のプロセスの多様性を提起している。
「産経新聞」には国際基督教大学の森本あんり教授のインタビューを載せていた。 「トウモロコシが一つの品種になっていたら、一つの疫病で全滅しかねない。個人も社会も同じだ。打撃を受けた際、多様性があれば、被害を最小限に抑えて再起できる」と。
5紙の社面から覗えることは、ひとり一人の自分なりの価値観・生き方をしっかり構築していくこと、その意味でのお互いの多様性を認め合うこと、ポピュリズムに迎合しない「知」の構築をたゆまぬこと、それらがこれからの社会を形成していくことだ、と思わせる新年だった。