夕飯まじかの食卓に透明の翅をつけた昆虫がやってきた。なんとなくいつものカゲロウだろうと思っていたら、ヘビトンボのミニ版かも、と考え直す。しかも、頭の下にゴミのようなものが見えた。体の大きさは約2cmくらいの可憐な小ささだ。
ゴミのように見えたのは折りたたんだ前足だった。愛用の小学館の図鑑で調べてみたら、「ヒメカマキリモドキ」(ヒメカマキリモドキ科)をやっと見つけ出した。上半身がカマキリ、下半身がクサカゲロウ・スズメバチの形をしている、ウスバカゲロウの仲間だった。頭部は確かにカマキリの三角頭とでかい目ん玉。その鎌で小さな昆虫を捕食する。しかしその鎌を広げる瞬間は見られなかった。
珍しい生態を持つのでなかなか出会いにくい貴重な昆虫のようだ。幼虫は徘徊性のクモに飛びつきその体液を吸いながら産卵を待ち、生まれた卵を食べながら成長していくという寄生性の昆虫だった。そういえば、天井にクモの卵塊ができてしばらくだが、ひょっとしてっそこからこの「カマキリモドキ」が成虫になったのだろうか、灯火にも来るので突然の訪問だったのだろうか、といろいろ推量してみる。いずれにせよ、初めて見るユニークな体とユニークな生態をもつ珍しい昆虫だった。