裏山の灌木を伐り出し、先端を削り、土留めのための杭を作る。急斜面なので本当は石積みがいいのだが、それだけの体力と資材がない。そのため、まずはあるもので作ろうと木の杭を作り出す。これらの木を伐採することで、下のガーデンに陽が当たるようにするという一石二鳥を狙ったものだ。
同時に、近所の人からいただいた流木も先端を削って杭を作っていくことにする。流木は広葉樹が多いようで硬い木が多い。太い木は楔や斧を使ってハンマーや掛矢で半割していく。長くやっていると手がしびれてくるので、テキトーにほかの作業をして気分転換をする。つまりはがんばらないよう手抜きすることで諦めないでゆっくり続けることをモットーとする。
裏山の灌木は、ミズキの樹が多かったようだ。こけしの原材料にもなるほど材は白く、比較的まっすぐで柔らかい。次に多かったのがコナラだった。あと、数年すればシイタケのほだ木にピッタリで良かったが、それよりは陽ざしが欲しいということにする。
削りかすがけっこう溜まってきたので、それを七輪で燃やしてあったかいコーヒーを飲むことにした。ついでに、イワシも焼いて夕飯に食べることになった。そのため、ついつい木の杭づくりは遅々とした進行になる。まあ、いつものことだけど。
それでも、なんとか山から川から集まった木から100本近くの杭が完成。長さは70cm~100cm、太さは4~10cm以上はある。太い杭は掛矢でないと食い込まない。1m間隔で杭を打ち込むがあっという間になくなってしまう。これらを買うとなるとけっこうな金額になってしまう。
杭の先端に「焼き」を入れる。これをやらないと腐ったり折れたりしてしまう。形も太さもまちまちなのも風情があるということにする。ボーとしていると杭も燃え尽きてしまうので目が離せない。端から見れば悠長な風景だが、意外にも忙しい。煙が目に沁みたり、鼻水が垂れてくる。
ついに、全部の杭に焼きを入れることができた。ほんとうは今月早々、畝づくりを始めなければならないが、思うとおりにならないのが人生だ!? しかも、天候・買い物・病院通いなどの合間にやらなければならない。といっても、義務でやっているわけではないので、日々をいきいき過ごすことが大切だ。土から離れた暮らしは人間をダメにする。それは歴史の教訓でもある。インターネットやバーチャルな世界が発展しているというのに、人間は少しも幸せではない。それを鍬を打ち込みながら振り返る。