先日、岩岳山登山道入口まで散策したときのことでした。
折り返し点のその「入口」近くに、一抱えある大きな石が林道の2mほど上にありました。 よく見ると、一本の木の根っこがその石を落ちないように支えているではありませんか。 もし、この根っこが枯れたら落石事故さえ想定できます。 しかしながら、その根っこはとても丈夫そうで頼もしく思えました。 まるで、肝っ玉母さんのようでした。
同じ林道沿いに、皮だけで生きながらえているアカガシらしき樹に出会いました。 根元にはうろがあるばかりでなく、穴が開いていて対岸の景色が見えるではありませんか。
生き延びようとする「いのち」のパワー。 辺境生物学者の長沼毅先生は、砂漠・海底火山の深海・氷河・マグマ噴出の高山などの辺境でも、生き物の「いのち」は適応して「ザワザワとはびこる」たくましさがあると語りました。 そして子どもに石を近くから拾わせて、その中にも生き物がいることさえ顕微鏡で見せました。
宇宙の奇跡がこの地球に「ザワザワ」としたいのちを生んだのだと先生は強調します。 そのいのちの中でも「人間は奇跡そのもの」と指摘した井上ひさしの言葉は深いなーと思いました。
岩岳山の出発・到着点の「ログペンション・シンフォニー」でお風呂を浴びてから食堂に行くと、鹿肉・猪肉の山の珍味をはじめ心づくしの夕飯が待っていました。
なんの変哲もない林道でも、こんないのちの輝きや連鎖があること。 これをいかに見出すかは森林案内人の大きな役割ですね。
書を捨て、町を捨て、山里に行こう!?